商店街の衰退感が固定化、大型店撤退も再生につながらず 長野県調査
一部で「シャッター街」の悩みも広がる既存商店街で、さらに商店街自体の減少や空き店舗の増加などが進んでいることが長野県の調査で分かりました。3月30日にまとめた「商店街実態調査」は3年ごとに全県を対象に実施し、今回は2017年度分の結果。次世代のリーダー育成を課題としながらも具体策が見つからないといった商店街が大半で、地域商業の苦悩の深まりをあらためて示しています。 【写真】かつてにぎわったアーケード商店街 なぜいま撤去が相次ぐ?
「衰退」の回答が57%占める
調査は2014(平成26)年度に続いて2017年7月1日時点で、全県の10店舗以上の会員で構成するすべての商店街に調査票を配布、県内77市町村にメールによる照会で実施。 その結果、県内の商店街の数は217で、3年前より24減少。34年前の1984(昭和59)年当時のほぼ半分まで減りました。 商店街の空き店舗は925を数え、空き店舗率は9.5%。前回調査より0.7ポイント増加しました。このうち36%が「店舗を貸したい(売りたい)が、借り手(買い手)がいない」という状況です。 景況感の問いに対しては「繁栄」は約3%にとどまり、「変わらない(停滞)」が約40%、「衰退」は半数以上の約57%を占めました。若干の変動はあるものの停滞感と衰退感がここ数年固定化しており、出口が見つけにくい状況になっています。 衰退の要因として複数回答で、半数以上の約54%が「商店主の高齢化、後継者不足」、「域外大型店への客の流出」を挙げ、「商圏内の人口、世帯数の減少」も約48%を占めました。 各商店街の商店主の平均年齢は「60代」が半数以上の約57%を占め、前回調査より4・8ポイント増えて高齢化の進行を示しています。後継者対策は「個店に任せている」という商店街が過半数で、「何もしていない」も4分の1近くを占めています。 大型店の撤退があった21商店街でその影響を聞いたところ、「あまり影響はない」が大半の約86%を占め、「良い影響が大きい」はゼロ。大型店の撤退が地元商店街の新たな動きにつながっていないことを示しています。 商店街の共同活動事業が不活発な理由として「会員が減ったため」との回答が半数近くあり、空き店舗の増加や後継者不足が商店街の体力をそいでいることが分かります。