【Playback箱根駅伝】第89回/日体大30年ぶり10回目のV 3年主将・服部翔大が5区で激走
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第89回箱根駅伝総合成績をチェック
第89回(2013年/平成25年) 前回19位から歴史的なV 中大が途中棄権で連続シードが28でストップ
全日本大学駅伝を大会新で連覇した駒大と、前回王者で全日本2位の東洋大による「2強」の優勝争いが予想された第89回大会。10月の予選会では40年連続で本戦出場を続けていた東海大が敗退したほか、前年11位の国士大、同14位の拓大も本戦へ駒を進めなかった。一方で大東大と法大が3年ぶり、日大が2年ぶりに本戦出場をつかんだ。 強烈な向かい風が吹き荒ぶ中でスタートした1区は、16km手前でスパートをかけた東洋大の田口雅也に法大の西池和人、明大の文元慧がつく、2年生3人の争いとなった。19km付近で再度ペースを上げた田口が区間賞を獲得。14秒差の2位で明大、さらにその1秒差で法大が続き、前々回王者の早大、出雲駅伝優勝の青学大が17位、18位と出遅れた。 2区では東洋大の設楽啓太(3年)が首位を独走する一方で、13位でスタートした日大のガンドゥ・ベンジャミン(4年)が猛烈な勢いで迫っていく。13位でスタートしたベンジャミンはあっという間に2位まで順位を上げ、最後の上り坂で設楽を捕らえて12人抜きを達成。区間賞を獲得する走りでトップ中継を果たした。 3区では双子の兄からタスキを受けた東洋大の設楽悠太(3年)が日大を抜いてトップを爆走。区間1位の走りで後続に2分41秒の大差をつけた。駒大が中村匠吾(2年)の3人抜きで2位へ浮上。早大も大迫傑(3年)が区間2位と好走して12位から3位へ躍り出た。 首位をひた走る東洋大は4区でやや詰められたものの、そのままトップで5区へ中継。日体大が2位に上がり、3位に早大、4位に明大と続き、駒大は4区で区間19位と振るわず、10位まで順位を落とした。 山上りの5区では日体大の服部翔大(3年)と早大の山本修平(2年)が東洋大を猛追し、12km手前で首位に躍り出る。その後、服部が山本を振り切り、最終的には2分35秒の大差をつけて26年ぶりの往路優勝を決めた。2位に早大、3位に東洋大、4位に明大と上位の顔ぶれは変わらず、13位から関口頌悟(2年)が8人抜きの快走を見せた法大が5位に食い込んだ。 復路は日体大の強さが際立った。6区の鈴木悠介(3年)が区間7位で山を下ると、7区の高田翔二(4年)、8区の高柳祐也(4年)、9区の矢野圭吾(3年)、10区の谷永雄一(4年)は区間2位でまとめ、終わってみれば6区で2位に浮上した東洋大に5分近くの差をつけて30年ぶり10回目の総合優勝を勝ち取った。前年19位からの優勝は史上最大の“V字回復”だった。 往路9位から3位まで順位を上げた駒大が復路優勝。6区の千葉健太、9区の上野渉、10区の後藤田健介と4年生3人の区間賞で優勝候補の意地を見せた。 4位争いはし烈を極め、帝京大の熊崎健人(2年)と早大の田口大貴(2年)がフィニッシュ直前までデッドヒートを繰り広げた。お互いスパートするタイミングを見計らい、先に勝負を仕掛けた熊崎が同タイムながらわずかに先着。チームの過去最高順位タイを手繰り寄せた。 予選会から勝ち上がった法大が9位で7年ぶりにシード権を獲得。10位の中央学大も4年ぶりにシード校へ返り咲いた。 一方で5区では城西大と中大が途中棄権となるアクシデントも発生。中大は1985年から続けていた連続シードが「28」で途切れたが、8区の永井秀篤(2年)が参考記録ながら区間1位の記録を36秒も上回る“幻の区間賞”の走りで名門の意地を見せた。 金栗四三杯(最優秀選手)は5区で区間賞を獲得して総合優勝の立役者となった服部が獲得。強風が吹き荒れ、全体的に記録水準は低かったものの、名門の復活、ごぼう抜き、熾烈なアンカー争いなど見応えのある大会だった。
月陸編集部