“横浜開港の礎“吉田新田が2017年で完成350周年 プレイベント続々
江戸時代に吉田勘兵衛によって開発された「吉田新田」が、来年で完成から350周年を迎える。横浜市内出身の人なら学校で習ったであろう、港・横浜の基盤を作り上げた吉田新田の節目に向け、各所でプレイベントが続々と開催された。 現在の中区・南区の中心市街地は、かつて元町あたりから北へ伸びた横浜村の砂州で東京湾と区切られた入海だった。現在の大岡川と中村川に囲まれた水域に堤防を築き堤防内を干拓することで開発した吉田新田や、その後19世紀初めから半ばにかけて作られた横浜新田・太田屋新田があったことで、後の横浜港の建設を容易にし、近代横浜の発展の礎となった。 横浜開港資料館(中区)では、今月半ばまで吉田新田の歴史を紹介する企画展「ハマの大地を創る-吉田新田から近代都市へ-」を開催。新田開発前後の横浜都心部の変貌が分かる絵図や、吉田新田の開発過程を記した吉田勘兵衛の日記の抜粋、年貢額や納入時期を記録した帳簿類など、同館や吉田興産が所蔵する約120点の資料を展示した。現在の場所との対比もわかりやすく、会期中には実際に新田の現在を歩く街歩きツアーも行われた。
難工事だった吉田新田の埋め立て事業完遂のために人柱となったという「お三」の伝説が残るお三の宮日枝神社(南区)では、境内で県内各地の地酒の呑み比べやライブを繰り広げる「お三の宮神社フェス」を7月31日に開催。神社を中心にしたまちづくりを進めてきたお三の宮通り商店会と周辺地域の飲食店による屋台も出店し、歴史ある会場での「フェス」を楽しんだ。明治期から昭和50年代までは隣接する伊勢佐木町と肩を並べる一大商店街だったというお三の宮通りの活気を取り戻そうと、吉田新田と神社の歴史を観光資源としてアピールし、まちおこしに活かしていく考えだ。 (齊藤真菜)