「子どもたちの心に一生残る行動でした」園長が涙 津波警報で避難中に中学生が手助け お散歩カートを押して・抱っこして坂登る
すこやか未来保育園の奥間華子園長は5月23日、沖縄市立美東中学校を訪れ、沖縄地方に津波警報が出された4月3日、高台に避難中だった同校の生徒が園児94人の避難を手伝ってくれたとして、「子どもたちの心に一生残る行動でした」と生徒らに礼を述べた。(翁長良勝通信員) 【写真】園児を抱っこして避難する美東中の生徒 津波警報が発令されたのは春休みの部活動中だった。美東中は海抜2~3メートル、海岸から約500メートルの距離にある。生徒や教職員は、宮城守校長の指示で、沖縄市高原から指定避難場所のコザ中学校に向かって県道20号を歩き始めた。 一方、すこやか未来保育園は海抜が高い安慶田にあるが、近くに川があることからコザ中を目指して保育士27人が0~5歳児94人を連れて移動していた。 県道20号は勾配がきつく、保育士らは上り坂でお散歩カートを押すのに苦労していた。そこで美東中の野球部、バスケットボール部、ソフトボール部の生徒が、お散歩カートを押したり、園児を抱いたり、手を引くなどして一緒に避難した。 園児がお礼に描いた絵は4月13日に学校に届けたが、奥間園長は「直接お礼を言いたかった。生徒に助けられたことが園児の心に残り、優しい大人に成長してくれるはず」と涙ながらに感謝を伝えた。 野球部を代表して松本喜男さん(3年)と大城永輝さん(同)は「2、3人交代でカートを押したので疲れはなかった」と振り返った。ソフトボール部の名嘉芽依梨さん(同)、バスケ部の上里梨子さん(同)、上里瑠星さん(同)は「子どもたちの笑顔がうれしかった。将来は人の役立つ仕事に就きたい」と目を輝かせた。 バスケ部顧問の伊波園江教諭は「生徒の行動を校長、教頭に報告するととても喜んでくれた。私も感激した」。宮城校長は「生徒の行動は本校の誇り」とたたえ、「困った人に優しい社会をつくる大人に成長してほしい」と期待した。