斎藤経産相:発注企業ごとの価格転嫁の状況を8月上旬目途に公表
(ブルームバーグ): 経済産業省は、中小や零細企業への価格転嫁状況について、8月上旬にも発注企業の社名リストを公表する。斎藤健経産相が21日の会見で明らかにした。
原材料やエネルギー、労務費などが上昇する中、価格転嫁交渉ができているかの状況について中小企業側から得た回答をもとに発注企業の社名を公表する。評価が低い企業に対しては所管大臣名で指導や助言を行う。
中小企業庁によると、コスト全体を転嫁できた割合は46.1%と昨年9月の調査から4ポイント上昇した。一方で、全く転嫁できなかったり減額された企業も約2割に上る。金融や保険、放送コンテンツ、トラック運送などの業種で価格転嫁率が低位にある。原価低減活動と称してコストダウンを求められるなどの取引慣習も影響しているとしている。
政府は、デフレ経済の脱却に向けて中小企業の賃上げを促す取り組みを進めている。価格転嫁は中小企業が賃上げ原資を確保する上で重要、との位置付けで公正取引委員会による勧告を行うなど対応を強化。今年3月には日産自動車に対して下請法違反で勧告を行った。
経産省は、不適切な原価低減要請に対しては引き続き行政指導や勧告を行うとしている。今回は4月18日から5月31日に30万社に調査依頼をし、約4万6000社から回答を得た。
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Yuki Hagiwara