関西のおでん・関東煮で人気の「梅焼き」。魚摂取にも最適
冬型の気圧配置が続き、暦の上で春とはいえ、全国各地で寒い日が続いている。そんな日には体が温もる熱々のおでんが最適だが、大阪府など関西では「関東煮(かんとだき)」という呼び名で親しまれている。関東煮を東京から来た複数の友人と食べに行き、開口一番で人気の「梅焼き」を注文すると、友人らが口をそろえ「何それ?」と言い出し、店主は「東京の人やったら知らんやろなぁ」と笑顔で皿を差し出す。梅の花の形をした柔らかいかまぼこは、どうやら関西以外では珍しい食べ物らしい。そんな梅焼きがどういう食べ物か、生産会社や料理研究家に話しを聞いてみた。 漫画「あぶさん」41年の連載に終止符。初期の舞台ゆかりの地へ/大阪
梅の型でふわふわに焼き上げて完成
「梅焼きは昔から関西圏独特のもんですな」と話すのは、かまぼこなどを製造販売する「別寅かまぼこ」専務の桑山吉之助さん(72)。桑山さんによると、梅焼きは魚のすり身を卵でとき、それを梅の型に入れて柔らかくふわふわに焼きあげて完成させる。「いつからあるかはわかんのですが、梅焼きは関東煮にピッタリやね。ダシをたっぷりすうから、さらにおいしなるんですわ」。同社では梅焼きを近畿一円のスーパーなどに出荷しているが、特に大阪府内への出荷量は突出しているという。だが、鮮度や賞味期限の関係などから、近畿圏外への出荷はしていない。 桑山さんは「私は学生時代の4年間を東京ですごし、おでんを食べた時に『ハンペン』を見て、うちの梅焼きに似てると感じた。最近では関東のものを大阪でも食べられるが、関西の食べ物は全国に根づいていかんのんかなぁ」などと話していた。
魚の香ばしさが調味料代わりにも
大阪市内のスーパーへ行くと、練り物コーナーに梅焼きが並んでいる。それを手にした同市内の主婦(45)にどのように食べるか聞いてみると「じっくり焼いて息子のお弁当にいれてます。あと、このままでも食べますね」という答えが返ってきた。それなりに大きさがあり、育ちざかりの子どものお腹を満たすおやつとしても重宝しているという。 NHK「きょうの料理」の講師やMBS「水野真紀の魔法のレストランR」のフードコーディネーターなどで知られる料理研究家の足立敦子さん(59)は「梅焼きは、なべや関東煮で使うとダシをすうと同時に、逆に魚の香ばしさやうまみを出してくれるので、調味料代わりにもなるんですわ」と話す。ダシがしみこんで中の味がそのままのタイミングで食べるのがいちばんだが、入れすぎるとくずれるので注意だという。「梅焼きは気軽に魚を摂取できますし、魚が苦手というお子さんにええかもしれません。きょうなんか寒いから関東煮がおいしいですね」と足立さん。関西独特の愛される食材梅焼きを、一度味わってみては。