介護にまつわる「契約」には余裕をもって臨みたい【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#17 通所リハビリに訪問看護、サ高住や有料老人ホーム、ショートステイに至るまで。介護に関連するサービスを受けようとすると、最後の詰めの場でさまざまな契約書が登場する。 整形外科医が教える体メンテナンス(4)高齢者も筋トレとプロテインを 口約束でコトが運ぶより安心とはいえ、うんざりするほどの書類に目を通さなければならないことが多い。もちろん契約内容についてしっかりお互いが確認することは大切なことだが、次から次に契約書が登場するとドッと疲れる。 とくに契約書を読み合わせする作業。つまり介護提供者側が用意した書類を、担当者が一字一句読みながら内容確認をする作業はやっかいだ。事前に書類を渡してもらい「当日までに読んできてください。疑問や質問があればお答えします。なければ、重要事項のみの再確認で契約になります」だけでいいでしょ?--と毎回思ったものだ。 きっと提供者側も同じことを思っていることだろう。それでもなぜ時間をかけて確認を繰り返すのか? 介護を必要とする高齢者を一時的にでも預かる以上、重大な責任が相手にのしかかるからだ。何げない動作でもケガや病気になるかもしれない……。たとえ介護提供者側に落ち度がなくても、まずは介護提供者側の責任問題が必ず浮上する。それを防ぐためにも、きっちり内容確認をしようという流れになってしまう。 たとえば、筆者がサ高住の契約の席に着いた時、テーブルの上に乗せられた契約書は次のようなものだった。 ・賃貸借契約書 18ページ ・居宅介護支援事業契約書 14ページ ・指定通所介護契約書 14ページ ・生活支援サービス契約書 14ページ 要するにサ高住というくくりでひとつの契約書ではなく、そこに付随するさまざまなサービスごと、関連事業者ごとに契約書が存在するわけだ。さらに、 ・登録事項等についての説明(高齢者住まい法第17条関係) ・保証委託契約書 ・居宅療養管理指導同意書 ・賃貸入居者総合保険契約申込書 ・訪問診療・看護の説明書 ・提携薬局に関する説明書 ・各支払先への口座振替書類 などが山積みされ、これらの書類に都度、住所と名前を書き、印鑑を押していく作業は相当な集中力が求められる。さすがにデイサービスだけの利用ならここまで書類は増えないが、契約の際は時間に余裕を持ち、体調を整えて行くよう心がけよう。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)