【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】スピルバーグ版を観たことがない人でも、この作品から知ってもらいたい大傑作『カラーパープル』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『カラーパープル』『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』
観る人の感性を広げてくれ、家族を大事に思う気持ちを育む作品です
今回は現在公開中で、決して公開規模は小さくないけど、どうしても観ていただきたい洋画を2作、紹介します。まずは『カラーパープル』。 娯楽作の帝王スティーヴン・スピルバーグ監督が社会派映画を初めて手掛けた1985年の同名映画を、2005年にブロードウェイでミュージカル化。さらにその映画化になります。 優しかった母を亡くした後、父親から虐待を受けるようになったセリーは、10代で父の決めた相手と強制的に結婚させられます。唯一の心の支えだったのは最愛の妹。でも、その妹とも生き別れになり、彼女は生きる希望を失いました。 そんな中、彼女は自立して生きるソフィア、そして歌手になる夢を自らの手で叶えたシュグと出会います。彼女たちの生き方に心を動かされたセリーは、自分の力で未来を変える決意を固めます。 スピルバーグ版を観たことがない人でも、この作品から知ってもらいたい大傑作です。あらためてこの物語が本当に素晴らしいことを再認識しましたし、本作のプロデュースを手掛けた人々がこの物語を手放したくないという理由も分かります。 だって、プロデューサーは1985年版の監督であるスピルバーグ、キャストのひとりだったオプラ・ウィンフリー、それに2005年のミュージカル版のプロデューサーだったクインシー・ジョーンズ。全員超大物ですし、この作品を再映画化するために力を注いだことがよく分かります。 このミュージカル版は1985年版よりこの物語の本質を分かりやすくしているんですよね。というのも、登場する女性はとにかく明るく振る舞っていないとボロボロになってしまうような状況。傷ついて、かさぶたになったのが乾いて割れて、それでまた血が流れ……というような人々だからこそ、歌に乗せて描くことで分かりやすくなる。 楽曲は全て素晴らしいですし、キャストの皆さんの歌唱力もすごい。文句なしです。観る人の感性を広げてくれるし、家族を大事に思う気持ちを育む作品です。もし頑固なパートナーがいらっしゃるようだったら、反面教師的に一緒に観に行くのはいかがでしょう。