ネット上の誹謗中傷、規制強化へ 海外ではコメント欄の削除、企業への制裁金も【WBS】
SNSなどに投稿される誹謗中傷が問題となる中、28日、総務省の有識者会議は対策案をとりまとめました。XやグーグルなどIT大手に投稿の削除などの対応を迅速にするよう求めます。 【動画】ネット中傷削除 約1週間で通知 28日、自民党内で開かれたインターネット上の誹謗中傷対策についての会合。そこに招かれたのは4年前、池袋の車の暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さんです。松永さんはネット上で「金や反響目当てで闘っているようにしか見えない」などといった、誹謗中傷に悩まされてきました。 「もうこれは“心の殺人”だなと思い、誹謗中傷問題に対しても活動していこうと」(松永さん) こうしたSNSでの誹謗中傷について街で聞いてみると 「容姿についてクラスの子が悪くコメントしてそれが学年に回っちゃって、その子が学校に通えなくなったことが中学時代にあった」 「SNSでは偏見もいろいろ言われる。『遊んでいそう』とか。嫌なコメントがあったらこっちが見る前に消してほしいと思う」
SNSの誹謗中傷などに関する相談件数は昨年度5745件。内訳を見ると、旧ツイッターのXが15.3% 、YouTubeなどを手がけるグーグルが9.6%、インスタグラムやフェイスブックなどのメタが4.1%と海外企業が上位を占めます。 誹謗中傷の投稿の削除を事業者に依頼したい場合、例えばXでは、「設定とサポート」から「ヘルプセンター」を選び、続いて右上の「問い合わせ」をクリック。その後、安全性に関する懸念を選ぶと、誹謗中傷に関する投稿を報告できます。 他のSNSでもこうした窓口はありますが、松永さんは「現在のSNSのプラットフォームの上でどこに通報していいのか、どこに相談していいのかが分かりづらい体験をした」と話します。
事業者に「適切に削除する責務」
こうした中、誹謗中傷の問題について議論してきた総務省の有識者会議が28日、対策に関する取りまとめ案を公表しました。SNSなどの事業者には、迅速かつ適切に削除する責務があるとしています。 具体的には、削除の判断基準や手続きに関する削除指針を作って公表すること。その上で削除の要請があった場合、1週間程度で対応することが適当としました。また削除したかどうかの結果とその理由をユーザーに説明することも求めるとしています。今回の報告書を受け、自民党は来年の通常国会での関連法案の改正を目指し、議論を進めていく方針です。 SNSを安心して利用してもらうために自主的な対策を進めている企業もあります。ゲームアプリのプラットフォームを手がける「グリー」ではユーザー同士がSNSで交流するコンテンツを扱っています。 「文字のやり取り、コミュニケーションができるので、いさかいが起きたり、けんかや誹謗中傷が起きる」(「グリー」政策企画グループの小木曽健さん) 誹謗中傷を取り締まるために、グリーはすぐに通報できる仕組みを採用しています。 「問題が起きそうな場所、攻撃的な投稿ができそうな場所には必ず通報ボタンがついている。通報理由を選択すると、われわれに攻撃的な内容を通報することができる」(小木曽さん) チャット欄には、通報ボタンを用意。通報すると、法令違反や中傷する投稿などについて、24時間体制で監視するパトロールセンターに通知が行く仕組みです。そして、システムの検知とスタッフの確認により、誹謗中傷するコメントに対し、削除や警告を行います。 グリーは今後も社会の変化に対応していきたいと言います。 「サービスも変化するし、ユーザーや起きる問題も今後変わっていく。迅速に対応できるようにアンテナを張っていかないといけない」(小木曽さん)