石破内閣発足、地方創生交付金を倍増 防災庁設置へ準備
岸田内閣の総辞職を受け、石破茂内閣が1日、発足した。厚生労働大臣には自民党の福岡資麿参議院議員が就いた。4日の所信表明演説で石破首相は「地方こそ成長の主役だ。全国各地の取り組みを一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指す」と抱負を述べた。 1日に開会した臨時国会の会期は9日までとし、同日、衆議院を解散した。物価高に苦しむ家計の負担を軽減したり、地方経済の活性化を促したりする経済対策は、10月27日投開票の衆院選挙後に取りまとめる。それを踏まえて補正予算の編成・審議に入る。 所信表明で石破首相は、地方創生を少子化対策と関連づけて持論を展開した。若年世代の人口移動と婚姻率の低下といった点に着目し、「地方創生と表裏一体のものとして若者に選ばれる地域社会の構築に全力で取り組む」と語った。 人口減の関連では自殺対策にも言及。「コロナ禍で増加した女性の自殺者数が高止まりし、こども・若者の自殺者数が増加傾向にあることを踏まえ、自殺総合対策を強力に進める」とした。 防災については「事前防災を徹底する」とし、現行の予算や人員を抜本的に強化し、専任の大臣を置いた「防災庁」の設置準備を進めるとした。災害発生時の避難所のあり方も見直す。 社会保障全般を見直し また、「社会保障全般を見直し、今の時代に合ったものに転換する」と強調した。物価上昇、少子高齢化、デジタル技術の進化といった社会の変化を念頭に、多様な人生のあり方を実現できる柔軟な制度設計を行い、意欲のある高齢者、女性、障害者の就労を促すとしている。 ■厚生労働大臣に福岡資麿氏 福岡厚労大臣は2日、初登庁後の会見で、石破首相から指示があったことを報告。その一つが「全世代型社会保障を構築すること、子育て支援金制度導入も踏まえ歳出改革に取り組むこと」だとした。 福岡大臣は1973年5月生まれの51歳。2005年9月の衆院戦で初当選し、10年7月には参院選で当選した。以後、自民党の厚労部会長、内閣府副大臣などを歴任した。入閣は今回が初めて。 厚労副大臣には宮﨑政久衆院議員(自民)、鰐淵洋子衆院議員(公明)、厚労大臣政務官には塩崎彰久衆院議員(自民)、三浦靖参院議員(自民)が就いた。 ■こども政策担当大臣に三原じゅん子氏 こども政策担当大臣に就いた三原じゅん子氏は2日、就任会見に臨み、「こども、若者や子育て当事者の声を聞き、こども、若者の視点に立った施策づくりを通じて、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでいく」と述べた。 深刻化する少子化について「危機的な状況であり、待ったなしの先送りができない課題だ」と強調。「さまざまな立場におかれた当事者、現場での支援者の意見を丁寧に聞き、積極的に現場の視察も行いながら、皆さんの意見をとにかく大切にして施策を進めていきたい」と話した。 児童虐待対応をめぐっては、全国の児童相談所における児童福祉司らの増員に加え、児童福祉法の改正で本年度から設置が市町村の努力義務となり、児童福祉と母子保健の両分野の一体的な運営を担う「こども家庭センター」の設置、機能強化なども進めたいとしている。 初入閣となった三原氏は2010年に参院比例区で初当選。当選3回。これまで厚生労働副大臣などを歴任した。