「教育格差」より深刻!? 10年後に起こり得る「子どもの経済格差問題」とは?
お茶の水女子大学の調査によると、親の年収が高いほど子どもの学力が高くなる傾向が見られることが分かっています。 このような「教育格差」は、社会問題として近年広く知られるようになりましたが、10年後には教育格差よりも深刻で解決不可能な、「子どもの経済格差」が発生する可能性があることをご存知でしょうか? 本記事では、10年後に深刻な子どもの経済格差が発生する理由を解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
教育格差はなぜ起こるのか?
教育格差が生まれる原因は、親の年収が高いとその子どもは美術館や博物館の鑑賞、塾や習い事など、質の高い教育機会が与えられやすく、それらが学力の向上に結びつくからだと言われています。 また親の年収だけでなく、親の学歴の高さも子どもの学力に影響する傾向が見られており、子どもの勉強や教育への関心の高さも子どもの学力の向上につながっているようです。 不利な環境を克服して高い学力をつけている子どもも一定数いるため、すべてのケースにこれが当てはまるわけではありません。しかし、身近なロールモデルとなる親や親戚などが大学へ進学するのが当たり前だったのか、または10代から働くのが当たり前であったのかが、子どもの進路選択に与える影響は決して小さくはないでしょう。
ジュニアNISAへの投資の有無が経済格差に発展する理由
子どもの経済格差が起きる原因は、ジュニアNISA制度を活用した投資の有無が大きく影響するといえるかもしれません。ジュニアNISA制度を活用した場合とそうでない場合で、どれくらいの格差が起こり得るのかを見ていきましょう。 ■ジュニアNISAの概要 ジュニアNISA制度(未成年者少額投資非課税制度)は2016年からスタートし、2023年末に終了しました。ジュニアNISAは0~17歳までの子どもが対象で、ジュニアNISA口座を開設し、親や祖父母などが運用管理者となって将来的な教育資金の準備などの利用が想定されていました。 非課税枠は新規投資額で年間80万円が上限で、非課税期間は5年間です。18歳までは原則払出は不可ですが、非課税対象期間の5年間を過ぎても18歳になるまでは非課税で保有することができます。 ■2024年以降のジュニアNISA口座の取り扱い 2023年末で終了したジュニアNISA制度は2024年以降、新規購入はできなくなっていますが、前述のとおり引き続き18歳まで非課税で保有することは可能です。また従来の制度では、18歳までやむを得ない場合を除いて払出できない制限がありましたが、2024年以降はいつでも非課税での払出が可能となりました。 ■ジュニアNISAの運用で18歳時点での資産額をシミュレーション 例えば0歳から毎年80万円の積み立て投資を5年間行い、その後は追加投資なしで18歳になるまでの13年間保有した場合を例にとって見てみましょう。仮に運用利回りが5%だとすると、18歳時点で約852万円の資産を保有できることになります。投資元本は400万円ですから、2倍以上の利益となります。 今回のケースの場合、大学や社会人生活のスタート時点で、800万円以上の経済格差が生まれることが明らかになりました。 ■どのくらいの子どもがジュニアNISA口座を開設しているのか? ジュニアNISAの口座開設数は2023年12月末時点で約127万口座となっています。総務省統計局の調査では、2023年9月時点の15歳未満の人口は約1420万人と推計されています。つまり、約11人に1人がジュニアNISA口座を持っている計算になります。 こうした積立投資が10年後に子どもの経済格差となって現れ、新たな社会問題として取り沙汰されているかもしれません。