枝野幸男氏が憲法審「中山方式」を再評価 維新「共産いる限り無理」と警戒、自民も釘刺す
憲法改正をめぐり、故中山太郎元外相(自民党)が示した与野党協調重視の「中山方式」を再評価する動きが出ている。先の衆院選で自民など改憲勢力が発議に必要な3分の2(310議席)を割った中、円満な審議を通じて打開策を見いだす狙いがある。一方で改憲論議を阻むための「時間稼ぎ」に悪用されかねないとの疑念は根強い。 中山方式への回帰は、先の衆院選後に衆院憲法審査会長に就任した枝野幸男氏(立憲民主党)が打ち出した。11月13日の就任あいさつで、「党派間の見解の違いを超えて一致点を見いだし、合意形成を図ることが肝要だ」と強調した。 中山氏は、憲法審の前身で、平成12年に設置された衆院憲法調査会の初代会長を務めた。少数政党にも均等に発言機会を提供し、後の憲法審発足に寄与したとの見方がある。ただ、中山方式の評価はさまざまだ。 「憲法審は羅針盤のない航海のごときだ。いざ意見集約に向けてアクセルを踏もうとすれば特定野党が中山方式を曲解、悪用してブレーキをかけてきた」 日本維新の会の馬場伸幸氏は19日の衆院憲法審で、こう警鐘を鳴らした。中山氏の秘書を務めた馬場氏は「中山方式」が重視されていた時代からフェーズは変わったとも指摘。「(護憲を掲げる)共産党が存在する限り全会一致は永遠に望めない。どこかで結論を得ることが民主主義の原則だ」と強調した。 中山氏と近かった自民の船田元氏も枝野氏に賛同しつつ、「憲法に関する議論が(中山方式が重視されていた時代を含めて)何度も政局に巻き込まれてきたことは大いに反省しなければならない」と主張した。 船田氏は中山氏が令和5年に逝去した際、産経新聞の取材にこう答えていた。 「中山方式には憲法改正の議論から目を背けないという暗黙の約束があった。与野党に真面目さがないと裏目に出る」(内藤慎二)