道路保守から競輪まで、買収と多能工経営で3本柱を深化
橋梁点検の作業車。日本エコシステムが保有する作業車と、買収した日新ブリッジエンジニアリングの作業車を相互活用することで効率化を進めている(写真:日本エコシステム)
「当社の課題は、何をやっている会社なのかわかりにくいことだ」。社長自ら、こう語るように、日本エコシステム(9249)の全貌をつかむことはなかなか難儀だ。愛知県に本社を置く同社の主な事業領域は、高速道路の構造物と電気通信設備などの保守を行う交通インフラ事業、競輪などの投票券発売・払い戻しシステムを設置・運営する公共サービス事業、そして太陽光発電設備設置や排水浄化処理を手がける環境事業の3つ。一見すると、3事業はバラバラのようにも思えるが、実は互いにシナジーを持っている。比叡山延暦寺で得度し、天台宗の僧侶としての資格を持つ松島穣社長に、3事業を展開する理由と、成長戦略を聞いた。――日本エコシステムの事業構成について教えてください。 大きく3つの事業がある。1つ目は、高速道路の保守管理を行う交通インフラ事業だ。維持補修工事や交通規制等の道路メンテナンスと、電気通信設備やETC、照明などの保守という道路エンジニアリングを手がけている。 2つ目は、競輪など公営競技場関連の公共サービス事業だ。公営競技場において車券など投票券発売から配当金計算、払い戻しまで行う業務システムのことをトータリゼータシステムと呼ぶ。当社グループでは、トータリゼータシステムの設計・販売・設置、競技施設の警備や空調設備工事、場外販売所の運営を行っている。 そして3つ目が、太陽光発電設備の設置や排水浄化処理を行う環境事業だ。 2021年9月期における売上構成比を見ると、交通インフラ事業が34.0%、公共サービス事業が48.0%、環境事業が9.1%、その他が8.9%だった。売上高では、公共サービスの存在感が大きいが、営業利益の構成比では、交通インフラ53.9%、公共サービス35.6%、環境事業0.4%、その他10.0%となり、利益寄与度は交通インフラが高い。
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広瀬 泰之