「育成就労」創設 技能実習廃止 改正法が成立 外国人材確保、実態に即した制度に転換
技能実習制度の代わりに外国人を受け入れる「育成就労制度」創設を柱とする技能実習適正化法と入管難民法の改正法が14日、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。令和9年までに施行される。人材育成による国際貢献を名目に劣悪な労働条件による人権侵害が相次いでいた技能実習制度は導入から約30年で廃止。人手不足解消のため、外国人材の確保を正面から掲げて実態に即した制度に転換する。 実習生は5年末で40万人おり、改正法施行前に来日した実習生は一定期間、在留を認める。 新制度は育成期間を3年とし、特定分野で外国人の就労を認める「特定技能1号」の水準に育てる。日本語と技能試験に合格すれば特定技能1号に移行する。さらに技能を磨けば、家族が帯同でき、在留期間更新に上限がなく、永住も視野に入る「特定技能2号」に移行できる。 政府は特定技能1号を受け入れる分野を16分野に拡大。令和6年度から5年間で、最大82万人を受け入れ、深刻な人手不足解消を狙う。 技能実習制度では受け入れ先の労働環境が悪化しても原則、転籍(転職)できなかったが、新制度では1~2年の育成期間と試験合格などを条件に転籍を認める。都市部に人材が集中しないよう、付則では必要な措置を講じることを求めた。 改正に伴って増加が見込まれる永住者の不正対策も強化。税金や社会保険料を故意に滞納するなどした場合は永住資格を取り消す。無資格の外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の罰則も懲役5年以下の懲役もしくは500万年以下の罰金に引き上げる。