【虎になれ】岡田阪神“大変な負け”だけどこんな日もある 続けろ打線の粘り
<ヤクルト6-5阪神>◇30日◇神宮 鉄壁を誇る阪神ブルペン陣が打たれ、4点差を守れなかった。8回に5失点するのは今季初のこと。せっかく「2点打線」が2桁安打を放ってつながり、5点をもぎとったがそれを守れず、チームにとって後半開始の今季73試合目、阪神は5割逆戻りとなった。 【写真】岡田彰布監督、険しい表情 悪夢のような試合といえば間違いなくそうだろう。指揮官・岡田彰布も「大変な負けやで、こんなん」と表現した。だが誰が投げても打たれるときは打たれる。強力ブルペンでも毎試合は抑えられない。ブルペン好調なときに阪急のレジェンド・山田久志(日刊スポーツ評論家)も「いつも、いつもは抑えられないよ。そこを分かっておかないとね」と話したものだ。 興味深いのはローテーション再編で才木浩人に代わり、今季初めて日曜に投げた西勇輝の談話だ。目前でスルリと逃げた白星にもかかわらず、虎番記者たちにこんなことを言った。 「いつも中継ぎが頑張ってくれている。若いコ(投手)が勝ちで降りて、こういう展開で負けてしまうよりは一番上の僕が負けた方がまだ…」。ショックが少ないかもしれないということだろう。もちろんチームにとれば同じこと。それでも西勇にすれば、自身のこれまでの経験で「たまには、こういうこともある」と言いたかったのだろう。 本当に8回まではナイスゲームだったと思う。特にいいなと思ったのは6、7回の加点だ。いずれも2アウトから粘って1点ずつ取った。これは強かった昨季によく見られたパターンで打線が湿りがちな今季ではめずらしい。 7回の森下翔太もよかったと思う。2死一塁からこの日、3番スタメンだった島田海吏に代わり、代打に出た。森下は前日、岡田から「(状態が)悪いどころちゃう。なんぼ言うてもあかんわ」とダメ出しを食らい、途中交代だった。 それだけに「打ってやるぞ!」と振っていってもおかしくない…と思ったが、ここは7球を粘り、四球で歩いた。それが大山悠輔の適時打につながったのだ。ボール球には手を出さないという姿勢がしっかり見られたし、だからこそ9回に巡った2打席目では安打も出たのではないか。 4番・大山も佐藤輝明も、そして前川右京も打った。これが続かないのが今季の苦しさとは分かっている。それでも打線が復調していけば、混セの中、まだ粘れるはずだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)