[山口県]シカ捕獲、最多更新2年連続 県「巻き狩り」実証着手
山口県は、2023年度中の野生鳥獣による農林業の被害状況をまとめた。被害額は約3億3800万円で過去10年で最少。造林木などへ被害を及ぼすシカの捕獲実績(速報値)は1万319匹で、2年連続で過去最多を更新した。県は被害額を3億円にまで減少させる目標を設定しており、本年度からドローンを活用したシカの「巻き狩り」の実証事業にも乗り出す。 被害額は減少傾向にあり、23年度は前年度と比較して3600万円減。10年前の13年度と比べると、2億200万円減っている。獣類別にみると、イノシシが1億3500万円、シカが1億600万円、サルが4900万円。被害のあった作物別では、水稲が1億5400万円で全体の半数近くを占め、造林木と果樹がそれぞれ5200万円、野菜が4900万円で、いずれも減少した。 獣類の捕獲実績は、シカが前年度比562匹増。イノシシは同6884匹、サルは同90匹減少した。シカの被害額全体に占める割合はこれまで2割前後で推移していたが、緩やかに上昇する傾向にあり、23年度は3割台に到達。スギやヒノキといった造林木を角でこすって傷を付けるケースが目立つ。シカは雄が複数の雌を囲む“一夫多妻制”のため、個体数が特に増えやすいという。 県は本年度、ドローンを使ったシカの「巻き狩り」の実証事業に着手。犬の鳴き声をドローンのスピーカーから流し、狩猟者が射撃可能な場所へシカを誘導して狩猟を効率化させる。猟友会関係者らのアンケートを踏まえ、普及できるかどうか検討していく。 県は県政運営の指針「やまぐち未来維新プラン」の中で、26年度までに被害額を3億円にまで減らすことを目指しており、県農林水産政策課は「柵やネットによる防護と(動物の)生息地管理、捕獲の3本柱で農林業を守っていきたい」としている。