タイ向けインバウンド・SNSプロモーションのコツとは? 有名インフルエンサーに聞く
拡大を続けるインバウンド市場。韓国、中国に続き勢いを伸ばしているのが、タイからの旅行者数だ。彼らが訪日する最も大きなきっかけになっているのはSNSを介した情報共有だと言われるが、タイ人の心をつかむSNSコンテンツとは、いったいどんなものなのか? タイにおける日本系コンテンツの筆頭格であり、Youtube登録者数110万、再生回数4億超の「タイの日本好きなら誰でも知っている」と言われるインフルエンサー・びーむ先生に、タイ人向けPRのコツを聞いた。
「伝わるかどうか」を考えながら「学び」を提供
──前回、珍しい郷土料理には多くの関心が集まることを教えていただきました。ビジュアル的に物珍しいものはバズりやすいのでしょうか? びーむ もちろんそうなのですが、私が大切にしているのはその背景や歴史を伝えることです。 その料理がなぜできたか、どういう文化があるのかという背景を入れこんだほうが多くの人が興味を持ってくれますし、動画を観た人が楽しみながら日本人の考え方について知ることができます。 動画を作る上で気を付けているのが、「学び」の要素を組み込むことです。 ただ単に奇をてらうだけではなく、その奥にある背景を楽しく、ストーリー性のある構成のなかで学んでもらう。すると、「何これ?」「面白いな」といった気持ちが、「実際に日本に行ってやってみたい」という気持ちに変わるのではないでしょうか。 私たちの動画が、そのきっかけの1つになればいいと願っています。 ──ですが、歴史や文化を伝えることは「難しくなりすぎる」リスクを孕んでいます。相手が日本人でないならなおさらだと思いますが、難解さと手軽さのバランスを、どのようにして調整しているんでしょうか? びーむ まずは、子供でも大人でも、理解できる言葉と内容で伝えることに気を付けています。最近は特に、難しい・わかりづらいコンテンツはすぐに離脱されてしまいがちだと思います。 ──独特の文化だからこそ、こだわりやメッセージが多くなりがちです。どんなふうに情報を取捨選択すべきですか? びーむ タイ人が、何を知っていて何を知らないのかといった前提部分を知る必要があるように思います。 たとえば、和牛がほかと異なることをタイ人はよく知っていますが、神戸牛と飛騨牛の違いなどについては、地名もわからなければその定義についても知りません。それなのに、近江牛とか佐賀牛とか、牛の品種の細かい話を次々としてしまったりすると、動画を観ている人は「難しすぎる」と感じて去ってしまいます。 伝えたいことがたくさんあるのは理解できるのですが、テーマとなるトピックについて、タイ人がどの程度知っていて、どこまで話せば一番いい具合になるのかを考えて動画を作るべきだと思います。 思いやこだわりを持つことは、大切なことだと思います。ですが、リール動画(短い動画)を作るとき、まずは「伝わるか伝わらないか」を考えたほうが、よりよい動画ができると思います。 細かい部分や難解な説明が長々と続く動画は、誰も観てくれません。ほとんどの人がリール動画をフックにしてくれるので、とにかくポイントを絞って、要素を入れすぎないことが大切です。