イルカが大群で押し寄せた集落にモニュメント復活 かつて肉を売ったお年寄り「上等になった」と喜び 沖縄・名護市
「安全運転してイルカ」-。沖縄県名護市世冨慶の国道58号沿いの海岸に、交通安全のモニュメント「ヒートゥ之碑」がお目見えした。木々に覆われて見えなくなっていたが、このほど伐採されて8年ぶりに全身が姿を現した。世冨慶区民が久しぶりのヒートゥの碑に喜んでいる。(玉城学通信員) 【写真】モニュメントの周辺に生い茂っていた植物。きれいに伐採された 名護湾にはかつて、ゴンドウクジラ科の「コビレゴンドウ」(イルカ)が大群で押し寄せ、名護は「イルカの里」として知られた。 ヒートゥ之碑が建立された後、次第に海岸に多く自生するオオハマボウ(ユーナ、ユナ)やアダン、テリハボクなどが生い茂り、姿が見えなくなっていた。 モニュメントのヒートゥは高さおよそ2メートルの台座に2メートル60センチの体長で建立され、世冨慶区の「竜宮神」へ向いている。 同区の比嘉徳勝さん(73)は「過去に1度オオハマボウなどの伐採を試みたが、諸事情で断念した。それにしてもヒートゥの全身の姿が見えるのが一番です」と笑顔で話した。 23歳の頃、世冨慶海岸でヒートゥをさばいて売ったことがあるという同区の渡具知俊子さん(88)は「やっさいびーんど こーいみそーれと大きな声を張り上げたら3キロや5キロの肉の塊がよく売れました。長い間ユーナに隠れていたのに今は上等になっている」とうれしそうに話した。 東江小6年の上間慶さんは「ヒートゥの周辺が明るくなり、運転手も安全運転してくれるでしょう」と話した。 同区の比嘉秀樹区長は「ヒートゥと言えば名護、名護と言えばヒートゥ。交通安全の塔はドライバーに安全運転を呼びかける目的なので、全身姿が見せられてヒートゥもうれしく感じていると思う」とうれしさをかみ締めていた。