子どもの時間管理、4つの壁の乗り越え方 子どものだらだら vs 親のイライラ 見通せるのは「10分先の未来」まで?
子育てしながら働いている人は帰宅の後、「第2の仕事」が始まります。 「早く宿題しなさい!」「ご飯を食べなさい!」「お風呂を済ませなさい!」 そう言いながら、イライラを募らせている方も多いのではないでしょうか。 時間管理を専門とする臨床心理士の中島美鈴さんが、子育てで忙しいビジネスパーソンのためのタイムハックを紹介します。
「早くしなさい」が空回りする理由
帰宅したら、おやつを食べながら、まずはゲーム。「早く宿題しなさい」という親の声も聞こえないふりで没頭し、数時間後に叱られる…。 大人から見れば、子どもにこう突っ込みたくなるでしょう。 「宿題などやるべきことをやって、その後から自由時間を満喫すればいいのに」 しびれを切らして、ついつい「早くしなさい」と連呼していないでしょうか。
時間管理講座を主宰する私は日ごろ、主に中年の方の支援をしていますが、たまに大学生や高校生を対象にした依頼を受けることもあります。 子どもたちと接して感じるのは、「時間がもったいない」とか、「間に合わないかも」という危機意識が薄いことです。「時間が無限にある」という感覚すらありそうです。 大人の「時間を大切にしたい!」という意識とはまったく違うのです。 親子の会話でも、「時間管理」という共通の感覚がないので、「早く、早く」と子どもをせかすだけでは、うまく進まないのです。
子どもの時間管理を阻む4つの壁
解決策を探るために、子どもの時間管理が難しい理由を挙げます。 1. 課題の完成形がわからない 2. 時間感覚が未成熟 3. 脳の働きが成長途上 4. 自己評価が高すぎ 一つずつ状況を見ていきましょう。
1. 課題の完成形がわからない
試験や自由研究、読書感想文、願書、履歴書と向き合う時、大人はこう見積もります。 「だいたい、このくらいみておけば終わるな」 こうして経験豊富な大人ならば見当がつく課題も、子どもにとっては経験したことがないものです。 ● 完成までにどれくらいのステップがあるのか ● どのくらい時間がかかるのか わからないので、見積もりが外れてしまいます。だから夏休みの最終日に泣きを見ることになるのです。