【大学トレンド】増える「学外キャンパス」 スカイツリー、ランドマーク…意外な場所が「リアル」学びの場に
大学のキャンパス以外の場所に、地域の人々や企業に開かれた「学外キャンパス」を設ける大学が増えています。大学で研究されている最先端の技術を、多くの人に見て触れてもらうための情報発信基地となっています。大学と社会をつなげる場となっている取り組みを紹介します。 【写真】大学入試の英語、30年で激変 止まらぬ難問化
2012年5月に開業した東京スカイツリー®。そのオープン当初から開設されたのが、千葉工業大学の東京スカイツリータウン®キャンパスです。ここでは授業は一切行いません。主に一般の人、中でも「科学技術なんて自分には関係がない」と考えている人に向けて、科学技術がもたらす功績や、未来へ向けた産学連携の紹介を目的につくられました。最先端のロボット関連技術の展示がある「Area I」と、宇宙関連技術の「Area II」の2つのエリアに分かれています。 東京スカイツリータウン®キャンパスでは、開業当時から「リアル」にこだわった展示を行っています。一見すると難しそうな科学技術も、実物に触れることで身近に感じ、宇宙など未知のものへの探究心が刺激される……そんな近未来体験を味わえる場所です。 例えば、東日本大震災で崩落した福島第一原発内で活躍した災害対応ロボットとの同機種が展示されています。また隣接したコーナーでは、ゲームのように災害対応ロボットをシミュレーション操作ができる「ロボットパイロット養成ソフト」があります。 小惑星探査機「はやぶさ2」の実物大模型の展示や、人気アニメ「マクロス」シリーズに登場する変形ロボット「バルキリー」の実物大展示は、ファンならずとも圧倒されるほどの迫力です。リアル機器の展示だけでなく、科学技術のわかりやすい解説も行われています。解説員にはインターンシップを兼ねた同大学の学生も対応しています。また、修学旅行生にも人気のスポットとなっています。 同大学のロボット関連事業では、未来ロボット技術研究センターを中心に、パナソニックや大林組など大手企業との産学連携プロジェクトが多数進行しています。また、ロボットのサッカー大会「ロボカップ2022世界大会」で千葉工大学のチーム「CIT Brains」がヒューマノイドリーグキッドサイズ2部門で優勝するなどの実績も残しています。こうした最新の産学連携やロボットについても、このキャンパスで知ることができます。 「リアル」へのこだわりは口コミでも評判となり、開業1年で10万人、10年で100万人の来場者数を突破。2024年2月には、累計来場者数が110万人を突破する見込みです。 千葉工業大学広報の大橋慶子さんは、こう語ります。 「東京スカイツリータウン®キャンパスは、広く一般の方に向けた科学技術の情報発信基地です。年齢を問わず多くの方に喜んでいただけるよう、今後も展示をマンネリ化させないようにしたいと思っています。最近では『コロナ禍で花火大会に行けなくて寂しい』という社会の現状に鑑み、デジタル技術で自分の手で花火のプログラムをデザインできるアトラクションを公開し、好評をいただきました。今後も時代のニーズに合わせて科学技術の面白さを伝え、科学技術の平和利用促進を目指す活動を継続していきたいと思っています」