大名町通りを人集う場に 市が歩道拡幅、段差解消へ 長野県松本市
長野県松本市は本年度、中心市街地の大名町通りの再整備に着手する。歩道を拡幅し、車道との段差をなくして平らにする。日中に約5000人が往来し、松本城に向かう観光客も通る。沿道の店舗がベンチなどを置きやすくして歩行者が滞留しやすい道路空間へと装いを一新する考えで、設計作業に入る。 松本城交差点~千歳橋北の約300メートル区間の市道が対象となる。16メートルの総幅員は変えずに、幅3・5メートルの両側の歩道を4・5メートルに広げて車道幅を狭め、さらに高さ15センチの縁石の段差をなくす。舗装の改良や樹勢の弱い街路樹の植え替えなども行う。国の「かおり風景100選」に選ばれているシナノキは残す。 大名町通りの将来像を「界隈の魅力がにじみ出す人中心のシンボルロード」とする市は、市議会6月定例会で設計費を予算化した。来年6月までに図面などの詳細を固め、遅くとも令和8年度には工事を始める考えだ。 大名町通りの再整備は、大名町町会が長年要望してきた。新型コロナウイルス禍以降は、沿道の店舗が道路占用の許可を得て歩道にベンチなどを置き、買い物客の滞留を促している。 フラット化や歩道の拡幅は、さらなるにぎわい創出が主な狙いだ。車のドライバーが歩行者優先の意識を持ち、速度を抑える効果も期待できる。市お城まちなみ創造本部は「今以上のにぎわいが生まれるように、人が滞在する道路空間を地元の皆さんと一緒につくりたい」とする。 大名町町会は昨年6月に「道路活用整備委員会」を設置し、市や専門家と連携して再整備・活用策の検討を重ねてきた。4月には道路のフラット化を含む提案書を市に提出。その後も毎月会議を開き、歩道の活用をどう充実させるか検討を続けている。 同委員会の大宮康彦委員長(77)は「いい歩道ができれば街が良くなるわけではない。人が来て楽しめる街になるかは、どう活用するかに懸かっている」と話している。
市民タイムス