ガラシャ辞世の句「散りぬべき 時知りてこそ…」 最後まで川勝節【川勝知事辞職届提出】
川勝平太知事は10日の定例記者会見で、辞職届を提出した今の心境を俳句や漢詩を交えた「川勝節」で表現した。静岡県民へのメッセージを求められ、「本当にありがとうございましたと言う以外ない。みんな人がいい。静岡県は素晴らしいところ。迷惑をかけたことは誠につらい。私だけが原因なので早く去るのが県民のためになる」と述べた。 知事は、西南戦争で敗れた西郷隆盛の胸の内を表現したとされる漢詩を披露し、「私にとってリニア問題は厳しい問題だった。地元の声を体に受けながら(政府や大企業と)戦うのは厳しいものがあった。さあ、どこに骨をうずめるかという心境だ」と述べた。
辞職届を提出する前に報道陣に対して、戦国武将明智光秀の娘である細川ガラシャの辞世の句「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」を詠んだ。「花も人も散り時を心得てこそ美しい」との意味の句を読んだ真意について、「ガラシャは死を決意した時、泣き叫ぶわけでもなく、逃げるわけでもなく歌をうたった。昔から行動規範として持っていた」と話した。 4期約15年間を振り返り、うれしかったこととして、2013年の富士山の世界遺産登録や23年の東アジア文化都市事業の成功を挙げた。最も悲しかったことは21年に発生した熱海市伊豆山の土石流災害とし、「誰か一人に責任というのではなく、反省していることがたくさんある」と声を詰まらせた。