【遺族年金】フルタイム共働きで妻と死別…「シングルファザー」はいくら受給できる?子なし夫の年金額も確認
遺族厚生年金は「子」がいなくても受け取れる
遺族厚生年金の受給要件・受給対象者・受給金額は以下のとおりです。 ●【受給要件】 遺族厚生年金は、次の5つのうちいずれかの条件を満たしている方が亡くなったときに、受け取れる年金です。 ・厚生年金保険の被保険者期間だった ・被保険者期間に初診日がある病気・けがが原因で初診日から5年以内に死亡した ・1級・2級の障害厚生年金を受け取っていた ・老齢厚生年金の受給権者だった ・老齢厚生年金の受給資格を満たしていた ●【受給対象者】 死亡した方に生計を維持されていた遺族のうち、優先順位の高い方が受け取れます。遺族基礎年金を受給できる場合は併せて受給可能です。 ・子のある配偶者 ・子(※1) ・子のない配偶者(※2) ・55歳以上の父母(受給開始は60歳から) ・孫(遺族基礎年金での「子」の定義と同じ) ・55歳以上の祖父母(受給開始は60歳から) ・※1 遺族基礎年金での定義と同じ ・※2 子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給可能。子のない夫は、55歳以上の方のみ受給可能だが、受給開始は60歳から ●【受給金額】 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額です。 詳しい計算方法は、次章で解説します。
夫が受け取れる遺族年金はいくら?
妻がフルタイムで働いていた場合、亡くなった際に夫が受け取れる年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」です。 子どもがいるシングルファザーは両方を受給できますが、子どもがいない場合、夫が受給できるのは遺族厚生年金のみとなります。 それぞれの受給額をシミュレーションしてみましょう。 ●ケース1:子どもがいない場合 子どもがいない場合、夫が受給できるのは遺族厚生年金のみで、妻の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額を受け取れます。 なお、子どもがいても「18歳到達年度の3月31日までにある子(障害1級・2級の場合は20歳未満)」に該当しない場合は、子どもがいない場合が適用されます。 わかりやすくいうと、原則として子どもが高校を卒業してしまうと受給できないということです。 では、以下の条件で具体的にシミュレーションしてみましょう。 ・妻の平均標準報酬額:25万円 ・厚生年金加入期間:25年 ・夫:55歳以上 報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数 上記の計算式より、報酬比例部分=25万円×5.481/1000×300月(30年)となり、約41万1000円と計算できます。 この金額の4分の3なので、約30万8000円が受給金額となります。ただし、受給開始年齢は60歳からです。 ●ケース2:子どもがいる場合 子どもがいる場合には、上記遺族厚生年金のほかに条件を満たせば遺族基礎年金も受給できます。 遺族年金としていくら受け取れるのか、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。 【シミュレーション条件】 ・子ども:1人(受給条件を満たしている) ・妻の平均標準報酬額:25万円 ・厚生年金加入期間:25年 ・夫:55歳以上 遺族基礎年金は、「81万6000円+子の加算額」で計算します(令和6年度)。子の加算額は23万4800円なので、以下のようになります。 遺族基礎年金額:81万6000円+23万4800円=105万800円 したがって、遺族基礎年金が105万800円、ケース1より遺族厚生年金が約30万8000円なので、合計で135万8800円が受給金額となります。