30年前の車なのに走行距離わずか130キロ!? タイムカプセルから現れたような希少“右ハン”ポルシェ 軽量仕様の驚くべき落札価格とは
標準の「911ターボS」より180kgもの軽量化を達成
2024年11月1日と2日にロンドンで開催されたRMサザビーズのオークションに、1993年型ポルシェ「911ターボS ライトウェイト」が出品され、注目を集めました。 【画像】30年の眠りから覚めた!? 19台しか生産されなかった新車同様のポルシェを写真で見る(30枚)
このポルシェ911ターボS「ライトウエイト」は、ポルシェのエクスクルーシブ部門のマネージャーだったロルフ・シュプレンガー氏の発案で誕生しました。 ポルシェのエクスクルーシブ部門でのみ製造・開発された最初のモデルで、1992年7月から11月にかけて、わずか86台だけ少量生産されたモデルです。 このクルマは、1992年のIMSAスーパーカー選手権で優勝した、911ターボS ライトウエイトの公道走行可能バージョンなのです。 ドアパネルはノーマルの911ターボのものからカレラRS用に交換されました。 ドア、フロントのトランクリッド、テールスポイラーはCFRP製となり、リアとサイドのウインドーガラスはより薄いものが採用されました。 ポルシェは可能な限りの軽量化を追求するため、エアコン、パワーステアリング、リアシート、ラジオ、断熱材、消音材などの快適性や利便性を高めるアイテムを取り外しました。 それでも、顧客はより洗練されたドライビングエクスペリエンスのために、これらのアイテムを再装着することもできました。 こうして、911ターボS ライトウエイトの車両重量は1300kg弱となり、標準のターボSより180kg以上も軽量化されました。 911ターボS ライトウエイトのM30/59SL型エンジンは、車体の軽量化と並行して、よりアグレッシブなカムシャフト、大型の燃料噴射装置、高効率のKKKターボチャージャーが装着されました。 その結果、最高出力は標準の3.3リッターターボエンジンより61psアップした381ps/6000rpmを発生しました。 このスペシャルエンジン搭載車は、外観上の特徴として、グループBマシンの「959」に由来するリアクオーターベント、新しいフロントエアインテークダクト、そしてリアスポイラーの変更などが挙げられます。 タイプ964世代の911ターボS ライトウエイトは前述のように86台が生産されましたが、そのうち右ハンドル仕様はわずか19台です。 今回の個体は、南アフリカ市場向けに1992年11月に生産された右ハンドル仕様です。合計86台生産されたうち、右ハンドル車は19台といいます。 ボディカラーはグランプリホワイトで、エアコンは装着されています。 南アフリカ仕様でしたが、このクルマはアジアのスーパーカーコレクターの元に送られ、彼の膨大なコレクションの1台となりました。 ですが、ほとんど運転されたことはなく、新車からの走行距離はわずか130km(81マイル以下)です。 湿度の高い気候の地に保管されていた結果、このクルマのオリジナル塗装にはマイクロブリスター(細かな気泡)が発生していました。 そこでかつての栄光を取り戻すために、全面的な再塗装をすることになりました。 このクルマは南カリフォルニアのエキスパートの元に輸送され、そこで下塗りまで剥がして、オリジナルのグランプリホワイトを厳密な基準で再塗装しました。 その後、車両は完全に整備されて新しいタイヤも装着されました。 この911ターボS ライトウエイトは、納車されてから一般販売はおろかオークションに出品されるまで一度も公に展示されることがなかった、きわめて珍しい個体です。 ボディの再塗装などのおかげで、このクルマは全体的に素晴らしいコンディションを保っています。 世界中のポルシェ コレクションに加わる、注目すべき1台となるでしょう。 この1993年型 ポルシェ911ターボS「ライトウエイト」は77万英国ポンド(1ポンド=198円として、1億5246万円)で売却されました。
VAGUE編集部