【悼む】心優しい努力の人、幸祐さん 早すぎる別れがつらい
13日、園田競馬場での調教中の事故により、兵庫競馬の松本幸祐(こうすけ)騎手が43歳という若さで急逝した。園田・姫路競馬担当の松本健史記者が悼む。 【写真】昨夏、園田競馬のPRで来社した小牧太騎手と松本幸祐騎手 ◇ ◇ ◇ 同じ松本姓で幸祐さんとはいろいろ話をした。最後にゆっくり話したのは、昨年末の某厩舎の忘年会。「最近、長野の松本市に行ったんですけど、幸祐さんは行ったことありますか?」と聞くと「修学旅行のスキーで行っただけですね」「そばがおいしくておすすめですよ」…。何でもない話だが、しっかり聞いてくれる心優しい人だった。 そういえば偶然にも5月の結婚記念日も幸祐さんと一緒。「これから同じ日で祝えますね」。血縁関係はないが、他人とは思えなかった。 幸祐さんは目立った成績を残した騎手ではなかったが、調教は人一倍乗っていた。日付が変わる前から、日の出が過ぎても、何頭でも乗る。癖のある馬に乗ることも多く、常にけがが多かった。「レースで乗るためなら、調教の乗り数でリーディングが取れるほど乗らないと」という話を幸祐さんから聞いたことがある。その努力する姿は自分も見習わないといけないと思った。 昨年8月、兄弟子にあたる小牧太騎手のJRAからの兵庫復帰を、騎手の中で一番喜んでいたのも幸祐さんだった。「調教に乗っていたら、やはり太さんはすごいなと改めて思いました」と背中を見て、いろんなことを感じ取っていた。 小牧騎手が復帰して間もない頃には、摂津盃のPRで各新聞社を巡ったこともあった。公私をともにする師弟コンビの活躍がこれから続く…と思われたが、その期間が5カ月でまさか終わるとは夢にも思わなかった。早すぎる別れがつらいが、幸祐さんにはこれからも温かく園田競馬を見守ってほしい。【園田・姫路競馬担当=松本健史】