<甲子園交流試合・2020センバツ32校>日本航空石川、「夏」刻む 九回裏も粘り強く /石川
2020年甲子園高校野球交流試合は第5日の16日、県勢の日本航空石川が鶴岡東(山形)と対戦した。序盤から点を取られては取り返す白熱した戦いの末、3―5で惜敗。勝利にはあと一歩及ばなかったが、球児憧れの場所で夏の記憶をしっかりと刻んだ。【井手千夏】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 2点を追う九回、2死走者なしから二つの四球と敵失で満塁とし、一打同点の場面で打席に立ったのは3番の中村京史選手(3年)。2ストライクに追い込まれてから4球をファウルで粘り、球場をどよめかせた。鋭い打球が一、二塁間を襲ったが、相手が好捕し、試合終了。だがその粘りは最後まで見るものをひきつけた。 1点を先制された後の初回の攻撃で、日本航空石川は2死走者なしから中村、小川純明(すばる)、毛利水樹の各選手(いずれも3年)の中軸の3連打で2点を挙げて逆転。二回にも敵失と四球、相手の悪送球で1点を加えた。 投手陣は先発・嘉手苅浩太投手(3年)、六回からマウンドに立った田中颯希(さつき)投手(同)の二本柱のリレー。的を絞らせない投球を続けたが、三、五回と失策や悪送球が絡んだ失点が響いた。 ◇「勝てる投手に」新たな目標 日本航空石川・嘉手苅(かてかる)浩太投手(3年) 「力不足だった」。試合後、191センチ、106キロの体軀(たいく)を誇るエースは潔く負けを認めた。序盤に3点を失い、五回には自らの暴投で勝ち越しを許すなど被安打5で4失点。140キロ後半に達する自慢の直球に狙いを絞られ、はじき返された。 けがを克服し、満を持して上がった甲子園のマウンドだった。 昨秋の県大会で右肘を痛め、その後の北信越大会では登板を回避。背番号「10」の田中颯希(さつき)投手(3年)が9試合3完投する姿に、危機感は小さくなかった。 休校期間中は下半身強化に加え、肩や股関節の柔軟運動に力を入れるなど故障しにくい体作りをこなし、訪れた交流試合決定の報に喜びをかみしめた。9日の県の独自大会決勝では星稜相手に61/3回1失点という「結果」も出し、「甲子園では150キロ、10奪三振」との目標達成も近づいたかにも見えていた。 再びエースナンバーを背負って挑んだ交流試合だったが、再び目の前に壁が立ちはだかる結果に。今後はプロ志望届を出す予定だ。「勝てる投手になりたい」。この負けをそのまま終わらせることはしない。【井手千夏】 ……………………………………………………………………………………………………… 鶴岡東 102010010=5 210000000=3 日本航空石川