東九州新幹線いつできる? 50年以上進展なし 新ルート提案も課題浮上…大分県「理解と機運の醸成が不可欠」
大分と宮崎がある東九州に新幹線を通そうと、大分県が実現に向けた動きを加速させています。期待がふくらむ一方で、様々な課題も浮上しています。 【写真を見る】東九州新幹線いつできる? 50年以上進展なし 新ルート提案も課題浮上…大分県「理解と機運の醸成が不可欠」 大分県日田市で1月、県が開いた住民説明会では、担当者が東九州新幹線の必要性や建設に向けたプロセスなどを説明しました。 (地元住民)「久大線ルートにも芽があるという感触を得たので、ワクワクしている」「日田でも新幹線が見られるという待望を子どもや孫の代につなげたい」 東九州新幹線は福岡市から大分市と宮崎市の東九州ルートを経由して、鹿児島市までを結ぼうという計画です。 このうち、福岡市から大分市までについては、小倉からの日豊本線と新鳥栖からの久大本線の2つのルート案で実現の可能性を探っています。 県が独自で行った調査では事業費は日豊線案で8195億円の一方、久大線案で8339億円。また、費用対効果は日豊線案が1.27倍、久大線案が1.23倍と、ともに大差はないという結果が出ています。 (県交通政策課・後藤孝一郎さん)「地方創生の基盤となる重要な交通インフラと考えているので、整備への議論を活性化する意味で、県としても両ルートを比較する調査を実施した」 新幹線は地方活性化にひと役買っているというデータもあります。九州経済調査協会によると、おととし9月に開業した、長崎市と佐賀県武雄市を結ぶ西九州新幹線では、長崎県と佐賀県での経済波及効果は、駅周辺の再開発やインフラなどの公共投資、宿泊施設の建設費などで、およそ1736億円にのぼっています。 また、日本政策投資銀行の調査では、9年前に石川県金沢市まで延伸した北陸新幹線でも、開業の1年後の経済波及効果はおよそ678億円という推計が出ています。 ■開業まで30年以上、「並行在来線」は赤字経営続き課題は山積 しかし、実現へのハードルは低くはありません。東九州新幹線は1973年、「基本計画路線」に位置付けられました。実現には開業が前提となる「整備計画路線」へと国に格上げしてもらう必要があり、1月、佐藤知事や宮崎県の河野知事らが国交省を訪れ、要望しています。しかし、決定したとしても開業できるまでには、かなりの時間を要します。北海道新幹線は32年、西九州新幹線は35年もかかっています。