人工育雛成功の「亜種」を公開~愛知県豊橋総合動植物公園
絶滅危惧種、人間環境大学と「長野アカモズ保全研究グループ」と共同で
愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)は、昨夏に国内で初めて人工育雛(いくすう)に成功した絶滅危惧種「亜種アカモズ」を園内で公開している。分散飼育で譲った個体を除く3羽を飼育中で、野外適応に取り組む1羽が屋外施設「野鳥園」で見られる。 人間環境大学と保全活動団体「長野アカモズ保全研究グループ」とで昨年8月、育児放棄された卵と幼鳥11羽の育雛に成功した。うち5羽が現在も生き延び、分散飼育のため北海道の施設へ2羽を譲渡した。 園内に残った3羽はいずれも雌。個体同士の争いを避けるため別々に暮らしている。当面は雄の個体とのペアリングで繁殖を優先させる。 育雛に携わる木谷良平獣医師は「まずペアリングによる繁殖を成功させることが肝心。野生放鳥は将来的な課題だ。数年かけて環境への適応や自立などデータ収集や分析を重ねる必要がある」と見通しを示した。 アカモズは国内のみで繁殖し、東南アジアで越冬する渡り鳥。本州の個体群については2022年時点で確認されたつがいはわずか45だった。環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠBに指定され、26年にも地域絶滅が予測される。 園は8月18日午前10時から園内の「ひだまり交流館」で、この間の取り組みを紹介するシンポジウムを開く。無料、先着50人。申し込みは8月16日までに園へ。 【加藤広宣】
東愛知新聞社