トランプ氏 立候補資格めぐる裁判も「生き残って」出馬できる背景
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月9日、ニッポン放送「小永井一歩のOK! Cozy up!」に出演。トランプ氏の米大統領選への立候補資格をめぐる裁判について解説した。
トランプ氏の立候補資格めぐる裁判が最高裁で開かれる
小永井)トランプ氏の大統領選挙の出馬資格をめぐる裁判が進行中で、立候補する資格があるのかどうかを問われています。口頭弁論が2時間余り続いたそうです。 宮家)アメリカの最高裁はご承知のとおり、三権分立ですから、立法・行政・司法のうちの司法府です。日本であれば行政府だけを政府と言うけれど、アメリカでは3つとも政府なのです。当然、最高裁も政治的判断をすることがあります。これが第一のポイントです。今何が問題になっているかと言うと、トランプさんが大統領選挙に出るわけですが、コロラド州の最高裁が「それはおかしいのではないか」と言っているのです。 小永井)コロラド州。 宮家)合衆国憲法修正第14条に基づき、2021年の連邦議会襲撃事件に参加しようとした、もしくは先導したトランプさんには「そもそも資格がない」とコロラド州では判断され、この問題が今連邦裁判所で審議されています。連邦レベルではいま連邦最高裁には9人の判事がいますが、6人が保守系です。トランプさんが大統領在任中に相当多くの保守系判事を送り込んだから、本来連邦最高裁はトランプさんに有利なはずなのです。ところが最高裁もアメリカ政府の一部である司法府なので、いくら何でもあからさまにトランプさんを支持することはできません。
コロラド州だけで決めることはできない
宮家)ポイントは2つあります。1つは、「トランプさんの出馬資格はない」とコロラド州は言うけれど、他の49州はどうなのか。コロラド州だけで決められるわけがありません。それもあって、「おかしいのではないか」という議論が今の連邦最高裁のなかにはあるようです。
トランプ氏は本当に連邦議会襲撃事件に加担したのか
宮家)更には、合衆国憲法修正第14条に関して、トランプさんは本当に反乱に加担したのかどうか、仮に加担したとしても、大統領には免責特権があるのかどうか。この2つの問題があるわけです。コロラド州の判断の是非の方は何とか判断できるけど、残りの二つの方は判断が難しい。今連邦最高裁がトランプさんに「あなたには出馬資格がありません」などと言ったら、それで選挙が終わってしまうでしょう。