2度目の連覇に死角なし 世代最強左腕が引っ張る大阪桐蔭 センバツ出場校紹介
4年連続14回目の出場となる大阪桐蔭は、2度目の春連覇に挑む。昨夏に主力を担っていたのはエース左腕の前田悠伍(2年)だけ。経験の少ないチームだが、昨秋の近畿大会を2年連続で制すると、明治神宮大会は史上初の連覇を達成した。西谷浩一監督は「突貫工事のように何とか、何とか勝ってきた」と表現するが、投打ともに戦力は充実しており、今春のセンバツも優勝候補筆頭なのは間違いない。
最速148キロ、変化球も高精度
昨秋の大阪府予選と近畿大会を制し、各地区の優勝校が集う明治神宮大会の連覇を成し遂げた。昨夏から引き続きメンバー入りするのはわずか2人だったが、明治神宮大会では4試合で32得点(12失点)を挙げ、力を見せつけた。
主戦は主将も務める前田。昨春のセンバツと昨夏の選手権の両甲子園大会を経験している。最速148キロの速球に、キレのあるチェンジアップ、スライダー、ツーシームを出し入れし、すべての球の精度が高い。だが、昨秋はフォームが安定せずに直球が走らなかった。 「自分の投球をしっかりできたのは(大阪大会決勝の)履正社戦だけ」と前田。近畿大会準々決勝の彦根総合戦や明治神宮大会準決勝の仙台育英戦では持ち味の制球が乱れ、四死球を連発した。冬はジャンプ系のトレーニングをこなして下半身を強化し、直球の質の向上を目指している。
2番手以降も140キロ超
同じく昨春から経験を積む右腕・南恒誠(2年)は速球が140キロ超の本格派だ。これに、攻めの投球ができる伸び盛りの右上手投げ、南陽人(1年)、力のある球で強気に押す右腕・松井弘樹(2年)、速球と変化球のコンビネーションが巧みな左腕・藤井勇真(2年)がおり、投手層は厚い。優勝には最低5試合を勝ち上がらなければならず、投球数制限もある中で前田以外の投手の奮闘も大切な要素となる。 打線の中軸は、捕手で勝負強い南川幸輝(2年)。広角に打ち、長打力が光る。昨秋には、非凡な打撃が魅力の大型内野手、小川大地(2年)が1番、俊足の外野手、山田太成(2年)が2番に入り、好機を広げた。 第89回、第90回大会に続く、前人未到の2度目の春連覇がかかる。西谷監督は「記録は気にしていないが、耐えて耐えて、日本一を達成する」。高校野球界の「横綱」に死角なしだ。
OBに楽天・浅村栄斗ら多数
1983年に大阪産業大高大東校舎として開校した私立校。88年に大阪桐蔭として分離・独立した。建学の精神は「偉大なる平凡人たれ」。進路に応じて1、2、3類に分かれたカリキュラムで、スポーツや芸術を通した教育と難関大への進学との両面に力を入れる。野球や吹奏楽などの体育・芸術系の生徒は3類に在籍。野球部員は各地から集まる。 甲子園初出場は91年センバツ。史上初となる2度の春夏連覇を含め優勝は春4回、夏5回。プロ野球界には浅村栄斗(楽天)や中村剛也(西武)、森友哉(オリックス)、中田翔(巨人)ら多数を輩出している。