東北新幹線の連結外れ、つばさ一時見合わせ 同じ連結方法、乗客懸念
東北新幹線と秋田新幹線の連結が外れ、緊急停車するトラブルを受け、山形新幹線つばさは19日、一時運転を見合わせた。山形新幹線も同じ連結方法で東京駅まで直通運転をしているだけに、足止めされた乗客からは「つばさでも起きるかもしれないと考えると、恐ろしい」などと懸念する声が聞かれた。専門家は安全性の高い日本の新幹線では異例だと指摘している。 連結器は先頭車両の先にあり、回転錠で固定され、電気信号で切り離される仕組みだという。交通コンサルタントでライトレール(東京)の阿部等社長は「何らかの部品が外れるなど、機械的な不具合が発生したか、もしくは電気信号など制御関係のトラブルの可能性が考えられる」と推察する。 山形市のJR山形駅では、運行状況を職員に確認する利用客や、通路に座り込んで運転再開を待つ人の姿が見られた。千葉市から出張で来県した会社役員園田利保さん(57)は、「連結が外れたなんて、聞いたことがない」と驚きを隠せない。「仕事で新幹線をよく使うが、今後もこういう事故が続かないか不安だ」と話した。東京都から帰省していた会社員下山成美さん(35)は、「重大事故になりかねない。自分がもしその車両に乗っていたらと思うと恐ろしい」と話した。
JR東日本山形支店によると、山形新幹線つばさは上下11本が運休・区間運休し、上下4本が最大2時間遅れた。約3750人に影響が出た。阿部社長は「不測の事態が発生した際の臨時運行態勢などを迅速に検討する必要がある。今回は仙台―東京間での折り返し運転などで、影響を最小限にすべきだった」とも指摘した。 前代未聞のトラブル 分離した車両同士の追突や脱線など、一歩間違えば惨事となり得る異常事態で、鉄道業界では今年、東北新幹線の架線部品破損による停電、東海道新幹線の保守用車脱線といった不手際や事故が続発している。こうした状況下での前代未聞のトラブルだった。 連結器は回転錠でしっかり固定しており、高速走行中の振動などによって外れたことは過去に一度もなかった。JR東日本の広報担当者は、負傷者がいないことに安堵(あんど)しつつも「想定外のケース。今回のようなことは初めてだ」と戸惑う。 JR東によると、連結が外れた際に自動で緊急ブレーキが作動。前方のはやぶさ(10両編成)は約4.8キロ、後方のこまち(7両編成)は約4.6キロ慣性走行して止まった。双方の距離は300メートルほどだったという。報道対応した新幹線車両担当者は「安全装置が機能した」と強調する。
工学院大の高木亮教授(鉄道工学)は、ブレーキがかかる仕組みは作動したものの、追突の恐れもあり「走行中の分離などあってはならない」と指摘。原因については「遠隔操作で連結や解除をする装置に不具合があったのではないか」と推測しつつ、詳しい究明と対策が必須だと語った。