米作りで広がる「V溝直播」、新潟県上越市では4年間で2・4倍に…注目の“種まき”を追う
出来秋を迎え、2024年の米作りが終わった。新潟県上越市では近年、田んぼに溝を掘って種をまく「V溝直播(ちょくは)」が広がっている。労働時間やコストの削減につながる栽培方法として県上越地域振興局などが普及を進めており、今秋まとまった集計では、V溝直播を採用した栽培面積は約200ヘクタール。4年間で2・4倍に増加した。農家の高齢化や肥料や資材の高騰が続く中、担い手の確保や経営の安定化につながると期待されている。 稲刈りの画像はこちら 稲作は春に代かきをして田んぼに苗を植え付ける移植栽培が一般的だ。V溝直播は地表にVの形に溝を掘って直接種をまくため、代かきは不要。従来の直播は、鳥についばまれることがないよう種を鉄粉などでコーティングする必要があったが、V溝にすれば鳥のくちばしが届かないためコーディングも不要だ。移植栽培の育苗もいらないため、手間が大きく省ける。 さらに、移植栽培の稲と生育ペースが異なるため、稲刈りの時期を移植、V溝で分散でき、作業を平準化できる利点もある。ただ、30年ほど前に東海地方でV溝栽培が開発されたときは、移植栽培と作業日程が大きく変わるため、採用する農家は少なかった。 近年は農地の集約化や法人化が進み、耕作面積が拡大。稲刈りの時期が集中しないよう工夫が必要になっており、作業負担の軽減も相まってV溝直播の注目度が高まっている。