都内の不動産、高額で手が出ないが…相続対策に「不動産小口化商品」を購入するメリット【公認会計士が解説】
一般的な不動産投資より少額でチャレンジできる不動産小口化商品ですが、この商品は相続税の節税にも有効だとご存じでしょうか。ここでは、不動産小口化商品による相続税の節税手法、元本割れのデメリットについて、基本的な内容を見ていきます。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
一口100万円単位で購入できる「不動産小口化商品」のメリット
生徒:将来の相続のために、相続税の節税や遺産争いの回避を考えていたところ、顧問税理士から不動産小口化商品を勧められました。一口100万円単位で購入できるらしいのです。いまは、都内の投資用物件は価格が高騰していて手が届きません。不動産小口化商品はどうなのでしょうか? 先生:小口化商品でも現物同様、相続税評価額を時価より引き下げることができます。タワーマンションなら6割まで下がります。また、小口化されているため、大勢の子どもや孫に渡すことが可能です。いま数多く販売されている商品は、不動産特定共同事業法で任意組合型とされている小口化商品です。
そもそも「不動産の購入」が節税になる理由とは?
生徒:ところで、なぜ不動産を購入すれば節税になるのでしょう? 先生:相続税は、相続人が引き継ぐ財産の評価額に応じて計算されます。銀行預金は、被相続人が亡くなった時点の金額がそのまま評価額になります。しかし、不動産は小口化商品も含めて、土地が時価の80%程度を目安に決められた路線価、建物は価格の60%程度を目安に決められた固定資産税評価額で評価されます。賃貸物件であるのに加え、小規模宅地等の特例を適用すれば、評価額はさらに引き下げられて、時価の30%から40%くらいまで引き下げることができるでしょう。 生徒:なるほど…。相続税の観点からは、現金や預金を持っているよりも、不動産を持っているほうが有利なのですね。
「不動産の小口化」とは、どういう仕組み?
生徒:ところで「不動産の小口化」といいますが、これはどういう意味なのでしょうか? 持分を共有するということですか? 先生:まず「任意組合型」の仕組みを説明しましょう。任意組合は、個人などの出資者、不動産を管理・運用する事業者で構成し、全員が組合契約を結びます。出資者は出資額に応じて共有持分を取得します。事業者は、商業ビルや賃貸マンションを管理・運用し、運用期間が終了すれば物件を売却します。 生徒:会社ではなく、組合契約なのですね。 先生:事業者は、賃料収入から、維持管理費や損害保険料、水道光熱費、固定資産税など諸費用を差し引いた利益、そして運用終了時の売却収入から取得費などを引いた利益を分配します。出資者は持分に応じて分配金を受け取ります。最近は、その利回りが2%~3%の小口化商品が多いようです。 生徒:利回り、結構低いですね…。 先生:それは、管理・運用する物件が都心部に立地する商品が多いためです。購入価格が高いので、それだけ利回りは低くなるでしょう。