【プレミア12】井端監督には見えていた…「不動の6番」で躍動するDeNA・牧秀悟の姿が!
大会連覇を目指す侍ジャパンが22日に行われた「第3回プレミア12」スーパーラウンドのベネズエラ戦(東京ドーム)で9―6と逆転勝ちを収めた。3時間52分の熱戦は中盤にリードを許す厳しい展開だったが、同点に追いついた6回に牧秀悟内野手(26=DeNA)の決勝満塁弾で勝負あり。井端監督の肝いり「6番・牧」が狙い通りにハマった最高のゲームだった。 【写真】井端監督とハイタッチする牧秀悟 日本が劣勢をはね返し、今大会全勝を守った。初回に辰己(楽天)の先制打などで3点を先行。ただ、2回に先発・才木(阪神)が2ランを被弾して1点差となると、6回に2番手でマウンドに上がった井上(巨人)が一時逆転を許す2ランを献上。さらに1点を失い、中盤に重たい2点のリードを奪われた。 日本にとっては嫌な展開となったが、壮大なドラマはここからだった。完全に主導権を奪われかけた直後、6回の攻撃。一死から9番・坂倉(広島)のソロで1点差に迫り、二死となって安打と2四球で逆転機をつくる。5番・栗原(ソフトバンク)が押し出しの四球を選んで同点とする。 球場のボルテージが上がり、仕上げは牧だ。ガルシアの2球目スライダーにうまく反応。打球は打った瞬間にスタンドインを確信するグランドスラムで一気に勝ち越した。牧はおなじみのホームランパフォーマンス「デスターシャ」をファンとともに決め「すごかったですね。気持ちよかった」と感無量の表情だった。 ヒーローインタビューでガッツポーズの牧秀悟 日本を国際大会26連勝に導いたヒーローは「チーム全員で束になって、逆転して勝つことができてよかった。打てたのはみんなのおかげ」と殊勝に言った。今大会、牧はすべて6番で出場。かねて井端監督は「本来は4番を打てるバッター」と言い切る。それでも牧をあえて「6番」に置くのには、研究熱心で洞察力にたけた「井端の直感」があったからだ。 侍の将は今大会、4番には森下(阪神)を配した。「不思議な力がある」。昨年のアジアチャンピオンシップで数字では測れない森下の魅力を確認し、日本の4番を託した。同時に〝井端の直感〟が働いた。「(牧の6番の狙いは)より多くのチャンスで回ってくるところで、いってもらう」。今大会絶好調の2番・小園(広島)から3番・辰己、4番・森下、5番・栗原で塁が埋まるシーンを描き、不動の6番としてクラッチヒッターの役割を全幅の信頼のもとに託した。「今日に関しては狙い通り。最高のところで回ってきた」(井端監督) 台湾でのオープニングラウンド・韓国戦(15日・台北ドーム)でも、2―3の5回二死満塁から2点適時打を放ち、逆転勝利の立役者となった。前を打つ中軸に精神面で余裕をもたらし、相手に重圧をかける〝いやらしさ〟が高い得点力の秘訣と言える。 試合後「ちょっと空席が目立つんで、もっと頑張りたい」と腕をぶした牧。昨春のWBCで世界一を経験し、井端ジャパンの枢軸を文字通り担う。劇的な逆転試合で歓喜の中心に立ち、日本野球の底力を世界に示した。
福田孝洋