95歳の現役クラリネット奏者、北村英治は「まだまだ育ち盛りのつもり」心をつかまれる音色と人柄
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 6月8日、9日に東京・日比谷公園で「日比谷音楽祭」が開催された。95歳の現役クラリネット奏者、北村英治が登場し、豊かな音色と豪華セッションで観客の心をつかんだ。 日比谷音楽祭は19年にスタートした無料の音楽イベント。今年は2日間で計17・5万人が来場し、スピッツや大トリを務めた小田和正など豪華アーティストが多数出演した。 イベントでは、公園内と周辺施設に設置されたさまざまなステージで音楽を楽しむことができる。こだわりのフードメニューが食べられる屋台や遊具エリア、ワークショップを行うブースなども充実。会場を歩くだけでもワクワクさせられた。 ステージに集まる人もいれば、フードを片手に草むらに座って流れる音楽に耳を傾ける人も。コンセプトの1つに「親子孫3世代、誰もが気持ちのよい空間」を掲げており、老若男女が思い思いに楽しむ姿があちこちで見られた。 北村は9日のステージに出演。年齢を感じさせないしゃんと伸びた背筋で、満面の笑みを浮かべながら登場した。客席から大歓声で迎えられ「自分じゃまだまだ育ち盛りのつもり」とにっこり。キャリア70年以上のレジェンドながら、柔らかな雰囲気とチャーミングな笑顔が印象的だった。 北村は1929年、東京生まれ。慶大在学中にクラリネットを学び、51年に南部三郎クインテットでプロデビューした。長年にわたり国内外で活躍し、2007年には旭日小綬章を受章。現在も精力的に演奏を続け、昨年にはテレビ朝日系「徹子の部屋」にも出演した。 この日のステージでは「Memories Of You」を披露。切なくも温かみのある音色が日比谷野外音楽堂に響き渡った。観客はうっとりと聞き入り、関係者らも仕事の手を止めステージに見入った。 また「Sing,Sing,Sing」を、東京スカパラダイスオーケストラ、井上芳雄率いるユニット「日比谷ブロードウェイ」らとコラボパフォーマンスした。 エネルギッシュで、熱く畳みかけるような大迫力のセッションを披露。豪華メンバーで会場を大いに盛りあげた。北村と年齢差81歳となるドラマーYOYOKA(14)との世代を超えた共演も、見るものの心を動かした。 北村はステージで「皆さんが支えてくれるのでこうやって吹いていられる。あと当分、5年や10年は吹きます」と笑顔で決意表明。歓声と大きな拍手に包まれた。 最後は客席に向け盛大に投げキッス。ステージを去る間際まで、観客の心をつかみ続けた。【玉利朱音】