安全運転の証?バイクのタイヤに残るアマリングとは
アマリング=未熟ライダーとは限らない
ライダー同士の会話の中で、しばしば「アマリング」という言葉を耳にすることがあります。数ある意見の中には、アマリングがあることは恥ずかしいことだというものも。 【画像】安全運転の証!? バイクのタイヤに残る「アマリング」を画像で見る(10枚) そんなアマリングとは何を指す用語なのでしょうか。
アマリングというのはバイクのタイヤの両端に出来る、地面と接しない為に摩耗していない部分のこと。特にフルカウルやネイキッドのような、スポーツ系バイクのライダーの間で話題に上がることが多く、輪っかのような形状をしていることから、「余る」+「リング」で「アマリング」と呼ばれています。 アマリングができる流れを簡単に説明すると、バイクのタイヤトレッドの断面は円形で、車体を傾けることで接地面は移動していきます。直進している時はトレッドの中心を接地させながら走行し、バイクを左右に傾けると接地面はタイヤの端へと移っていく為、アマリングがあるということは、簡単に言えばバイクを倒しきっていないということになります。 その為、アマリングがあることを恥ずかしいことだと言う人は、コーナリングでバイクの性能を十分に発揮しきれていないと指摘しているのです。 逆に、バイクを限界まで倒す、あるいはコーナリング中タイヤに荷重をかけてトレッド面を潰すことでタイヤを端まで使いきれば、アマリングは消えることがほとんどです。 しかし、アマリングをあってはいけないものだとするのは早計で、タイヤや車体の構造によっては、バンクセンサーが削れるほどに倒しても、アマリングが残っていることも。むしろ、アマリングがないということは、タイヤを限界まで使うような、余裕のない走りをしていることを意味します。
公道を走る際に重要だと言われているのが「安全マージン」を取ること。適切な車間距離の維持や法定速度の順守などと同様、倒しすぎずに余裕を持って走行することも、ゆとりを持った運転です。 その為、アマリングがあることは、余裕のある走りをしていることを意味していると捉えることもできるでしょう。 もちろん、アマリングを消せるレベルの運転技術を身につけることができれば、咄嗟の危機回避の際に役立ちます。いつでもアマリングを消せるほどの技術を身につけた上で、あえてゆとりを持った走りをすることは、事故リスクの低下に繋がるはず。 ただし、アマリングを消すための練習を公道でおこなうことは大変危険。車体の性能を限界まで発揮するような練習は、一歩間違えば転倒や事故に繋がります。サーキットや教習所のような、クローズドコースで練習するようにしましょう。 ちなみに、英語圏ではアマリングのことを「chicken strips」と呼ぶこともあるそうで、「臆病者」を意味するchickenと「細長い一片」を意味するstripsで構成されたこの熟語は、日本語のアマリングと比べてネガティブなイメージがより露骨になっています。 ただし英語圏のメディアにおいても「chicken strips」を恥ずかしいものだとする主張は批判されており、それを元にバイクの腕前を評価するのは本質的ではないと言われているのは同様です。
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