今日開幕!全国高校サッカー選手権の逸材5人。元Jリーガーからフットサル二刀流まで
高校生Jリーガーにフットサルとの二刀流
■関川郁万[DF/千葉・流通経済大学柏3年/180cm・75kg] 1年次から全国屈指の強豪校の最終ラインに君臨してきた関川郁万は、昨年度のインターハイ制覇と全国選手権準優勝でさらに高い評価を獲得。今年5月にはJリーグを代表する常勝軍団、鹿島アントラーズへの加入が決まるなど、将来を嘱望されるセンターバックの一人として注目を集めてきた。 打点の高いヘディングと1対1における強さ、全身から放たれる旺盛な闘争心に加えて、現代サッカーのセンターバックに求められる正確なフィード力も搭載。今夏のワールドカップ・ロシア大会で大活躍し、フランス1部リーグのトゥールーズへの完全移籍が決まったDF昌子源の後継者として、ごく近い将来のアントラーズでも台頭してくるだろう。 もっとも、キャプテンを担った高校最後の1年は苦難を味わわされてきた。古傷の右ひざを痛めた影響でなかなかコンディションが上がらず、千葉県予選で敗退したためにインターハイの舞台にも立てなかった。だからこそ、決勝戦で宿命のライバル・市立船橋を完封で下し、チーム史上で初めて2年連続出場を決めた全国選手権にかける思いは強い。 ■鈴木冬一[MF/長崎・長崎総合科学大学附属/164cm・62kg] 元Jリーガーという異色の肩書とともに、エースナンバーの証である「10番」を託されたのが左利きの小柄なアタッカー、鈴木冬一だ。東大阪市で生まれ育った鈴木は、小学校4年生からセレッソ大阪の下部組織に所属。U-18だった昨シーズンはセレッソ大阪U-23の一員としてJ3で3試合、11分間プレーした。 もっとも、昨秋にインドで開催されたFIFA・U-17ワールドカップに出場して1ゴールをマーク。同世代の世界のレベルや意識の高さを肌で知ったことで、J3でなかなか出場機会を増やせない自分自身へ危機感を募らせたのだろう。今年3月に興国 高から長崎総合科学大学附属への転入を決意した。 甘えを断ち切る意味でも、国見を全国屈指の強豪校へ育て上げた名将・小嶺忠敏監督が課す厳しい指導が必要だと判断した。卒業後はJ1でも群を抜くハードトレーニングで知られる、曹 貴裁(チョウ・キジェ)監督が率いる湘南ベルマーレ入りする。そのままセレッソにいてもトップチームに昇格できたはずだが、あえて過酷な環境を求めていく過程で、最初で最後となる全国の舞台に立つ。 ■大塚尋斗[FW/栃木・矢板中央3年/181cm・73kg] 8大会ぶりにベスト4へ進出した前回大会でスーパーサブとして起用された大塚尋斗は、年代別のフットサル日本代表にも名前を連ねる異色の二刀流選手として多忙な日々を送ってきた。昨夏の全日本ユースフットサル大会で歴代最多の19ゴールをマーク。矢板中央を全国制覇へ導き、大会得点王とMVPをダブル受賞してから、フットサル界のホープとしても注目を集めている。 メインはもちろんサッカーとなるが、フットサル仕込みの多彩かつ柔軟なテクニックは、筋骨隆々のボディを駆使するポストプレーとの相乗効果で対戦相手の脅威になっている。フットサルの大会や合宿に招集されるたびにチームを離れてきたが、代表チームで新たな技術を体得してはサッカーへ還元してきた。 先月18日に全国選手権の組み合わせが決まり、チームが総仕上げに入った直後にも、U-19フットサル代表の一員としてAFC・U-20選手権予選へ臨んだ。苦戦を強いられた香港との決勝戦で2ゴールを決めて、日本を本大会出場へ導いた活躍ぶりはさらなる自信となって、日章学園(宮崎)との2回戦から登場する最後の舞台で矢板中央をけん引するはずだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)