「デジモンのように」 「ふくちゃま」に託された福知山の活性化
福知山青年会議所が創立６０周年記念事業として制作した新キャラクター「ふくちゃま」の着ぐるみが１９日、ライトアップイベント「福知山イル未来と２０２４」でお披露目された。同会議所でつくる実行委が主催し２０１８年から趣向を変えながら継続しており、今年は２日間限定で京都府福知山市蛇ケ端の商業施設「ゆらのガーデン」を会場に開かれた。【綾井まどか】 ６０周年記念事業の実行委員長、下川功貴さん（３２）は、１９９９年に始まったテレビアニメ「デジモンアドベンチャー」の主題歌でメジャーデビューした福知山市出身のアニメソングシンガー、和田光司さんの大ファンだったことから、市民にあまり知られていない和田さんの功績を伝えるアイデアを数年前から考えていたという。２０２３年の「イル未来と」のイベントに訪れた福知山市の姉妹都市、長崎県島原市の公式キャラクター「しまばらん」が大人気だったことから、子どもたちに人気のデジモンのようなキャラクターを作って地域活性化につなげたいと思い立ったという。和田さんはがんのため１６年に４２歳の若さで亡くなったが、２４年１月、デジモンシリーズや「たまごっち」のキャラクターで知られる有名デザイナー、渡辺けんじ氏に新キャラクターのデザインを依頼し、和田さんと渡辺さんのコラボが実現した。着ぐるみ制作のためのクラウドファンディングでは、両者のファンも含め、国内外から目標を上回る約１９０万円の支援が集まり、９月に公募でキャラクター名を決定していた。 ２度のがんを乗り越えた和田さんはデジモン主題歌「Ｂｕｔｔｅｒ－Ｆｌｙ」にちなんで「不死蝶のアニソンシンガー」と呼ばれていたことから、チョウの羽を持つキャラクターに。羽根には福知山にゆかりのある戦国武将、明智光秀の家紋、水色キキョウがデザインされている。大きな青い瞳がチャームポイント。雨のため、飲食店の軒下でお披露目されると、早速、子どもたちが駆け寄り、記念撮影をしたり触れ合ったりし、「可愛い」「ふわふわしてる」と声を上げていた。 福知山青年会議所の昨年度理事長で「イル未来と」実行委員長の足立聖忠さん（３９）は「福知山に眠っている資源を使って、長くこの町に残るものを作りたかった。年内は市内の保育園や幼稚園に出張し、園児たちとの交流も考えている。挑戦することの大切さ、諦めない精神の大切さを伝えるキャラクターに育て、将来的には闘病中の子どもたちに会いに行くなど、勇気を与えられるようなキャラクターになれば」と抱負を語った。 この日のプロジェクションマッピングの点灯式は雨で中止になったが、カウントダウンの後、芝生に映像が映し出されると多くの来場者が光のデジタルショーを楽しんだ。近くの福知山鉄道館「フクレル」はイベントに合わせて夜間特別開館し、福知山城ではハロウィーンを前に、福知山商工会議所青年部がお化け屋敷「キャッスルホラーナイト」を開催。会場周辺にはゾンビに扮（ふん）した関係者やハロウィーンの仮装をした若者も訪れ、雨の中、秋の夜を楽しんでいた。
