詩人・作家の三木卓さん「お別れの会」 静岡での思い出話に花 都内で村松友視さんら
昨年11月18日に88歳で死去した詩人・作家の三木卓(本名冨田三樹)さん(静岡市出身)の「お別れの会」が5月16日、東京都千代田区で開かれた。長女の冨田真帆さん(59)や生前親交のあった約150人が集まり、作品や人柄をしのんだ。 静岡市立城内中、県立静岡高の5年後輩という作家村松友視さん(84)は「中学、高校ともに私の入学時には『伝説の先輩』として語られていた。私が作家になってからも心強い、心優しい先輩で居続けてくれた」と思い出を語った。 1971年の第1回高見順賞に三木さんと共に選ばれた詩人吉増剛造さん(85)は、三木さんの芥川賞受賞作「鶸」や「路地」などの言葉を埋め込んだ新作を朗読した。「途方もない輝きを持った、恒星のような人。三木さんと(妻の詩人)福井桂子さんの世界は、これから別の光を浴びることになる」と話した。 三木さんが最後の詩を寄せた雑誌「詩とファンタジー」の版元で、「お別れの会」の事務局を務めた出版社「かまくら春秋社」の伊藤玄二郎代表(80)は「亡くなる数日前まで相撲の話で盛り上がっていた。死因は『老衰』と伝えられているが、直前まで元気なまま旅立った」とエピソードを披露し、55年間の交友に感謝した。
静岡新聞社