外国人がびっくり「日本のお通し」ここがヘンだよ 店側にとってのメリット、トラブル防ぐ対処法
■店側がお通しを出す理由 トラブルのもとになりやすいお通しだが、それでもお店側が提供を続ける理由もある。 お通しには、入店したばかりの客を待たせないための、配慮や機能がある。入店してから、店員がオーダーを取りに行き、そこから料理を作るとなると、当然のことながら時間がかかってしまう。 混雑状況にもよるが、簡単なサラダなどであったとしても、オーダーを取ってから席に運ばれてくるまで5分くらいを要するだろう。
だが、お通しは、どの客にも共通して提供されるものなので、事前に用意することが可能だ。そのため店側は、客が着席してから、すぐに提供することができる。 コロナ禍でスタッフが離れてしまい、多くの飲食店ではいまだに人手が足りていないだけに、事前に準備できるのは非常に助かるのだ。 お通しは、お酒と一緒に味わう酒肴といった位置付けでもあり、最初に注文するビールなどのアルコールにもよく合う。 また、飲食店が柔軟に内容を決めることができ、食材を効率よく利用できるという利点もある。
余っている食材を利用したり、安く仕入れられた食材を活用したりなど、素材を効率よく利活用できるのは、SDGsの観点からも好ましい。お通しという“おまかせ”の一品が提供されることは、サステナビリティーの観点からも非常に意味があるのだ。 飲食店のコストは、提供される料理だけに、かかっているわけでは当然ない。料理人や、サービスを遂行するスタッフの人件費はもちろん、飲食店が入居するための賃貸料、内装の施工や維持の費用、テーブルウェアの購入費、空調や明かり、ガスといった光熱費など、皿の上以外にもたくさんのお金がかけられている。したがって、客がテーブルに座るだけでもお金がかかると考えていい。
イタリアの飲食店ではコペルトというテーブルチャージ(席料)が料金に計上される。日本の飲食店でも、コペルトや席料といった名目で料金をとることは珍しくない。夜のバーに行けばテーブルチャージが課され、生演奏があればカバーチャージ(ミュージックチャージ)が加算される。 街場の飲食店であれば、お通しは300~600円、テーブルチャージは500円前後。夜間におけるホテルのバーやラウンジであれば、テーブルチャージは1500~2000円、カバーチャージは2500~3000円程度だ。