<兵器使用制限はいつまで?>ロシアの脅しを心配し続けるアメリカに苛立つウクライナ
オースティンは、ATACMS や Storm Shadowの射程を超える標的に対してもウクライナはドローンその他の重要な能力を有していることにも言及している。 しかし、オースティンの応答ぶりは変ではないかと思われる。ウクライナはATACMSが決定打になると言っている訳ではない。ロシア領内奥深くの軍事目標を叩く能力(それはロシアの軍事能力の劣化を強いる上で必須である)は、自国防衛のための各種能力の組み合わせに必要な一つの重要な能力と言いたいのだと思われる。 この記事に言い逃れの連続だとの言及がある。バイデン政権内にはウクライナの希望に前向きな見解もあることを窺わせる報道もあるが、ロシアを挑発しエスカレーションを招く心配がバイデンに殊の外強く、オースティンは逃げを打っているのではないかと思われる。
「頑固な老人」を続けてはならない
これまで、バイデン政権は使用制限をなし崩し的に緩和して来た。クリミアの軍事目標に使用することには慎重だったようであるが、黙認した。 国境の反対側で侵攻のために集結するロシア軍に対する攻撃は容認に転じた。使用制限には、侵略された側が侵略した側の領域を攻撃出来ないという非合理性を否定することができない。 それゆえ、バイデンは方針を転換し、使用制限を解除、少なくとも大きく緩和すべきだと思われる。エスカレーションが心配であれば、秘密裏に目標を絞り込むなど工夫は可能ではないかと思われる。 バイデンは「頑固な老人」と言われるが、老いの一徹で使用制限に固執すれば、自らの遺産を大きく毀損するリスクを冒すこととなろう。
岡崎研究所