「全部表情が違う…」柳楽優弥が魅せた「漫画実写化作品での名演技」が凄すぎる
■『ガンニバル』閉鎖的な村の秘密に迫ろうとする駐在警察官・阿川大悟
二宮正明さんによるカニバリズムを題材としたサスペンス漫画『ガンニバル』は、2022年にディズニープラス「スター」オリジナルドラマシリーズとして配信がスタートした。 主演の柳楽さんは、山間の村「供花村」に一家で赴任してきた駐在警察官・阿川大悟を演じ、閉鎖的な村社会で次々と起きる事件に巻き込まれていくこととなる。 大悟は非常にエネルギッシュで正義感あふれる警察官だが、その一方で、その正義感が暴走し何をしでかすか分からないという危うさを持った人物でもある。 柳楽さんはそんな大悟の人間性を繊細且つ大胆に演じていた。たとえば、本作の超重要一族“後藤家”を訪れた際、血気盛んな男連中に囲まれ猟銃で凄まれるも、その猟銃を奪い、返り討ちにしてしまうシーン。 このシーンで感じたのは、やはり大悟の危うさだった。柳楽さんの迫真の演技により、原作の緊迫感が再現されていたように思う。 シーズン1は、大悟やその家族に危機が迫る非常に“いいところ”で終わってしまったが、シーズン2の制作決定も発表されている。柳楽さんの演技を含め、今後の展開が非常に楽しみな作品である。
■『ザ・ファブル』猟奇的でエキセントリックな暴力団組員・小島
真選組副長に駐在の警察官……と、正義感溢れる役が似合う柳楽さんだが、南勝久さん原作、2019年公開された実写映画『ザ・ファブル』では一変、猟奇的な暴力団組員として登場した。 柳楽さんが演じたのは、口元から耳にかけて大きな傷のある真黒カンパニーの組員・小島という男だ。原作漫画の小島は強面の中年男というイメージだったが、実写では柳楽さんの怪演により、よりエキセントリックで印象的なキャラとなっている。 一般女性を殺害し服役した小島は、出所直後に昔の仲間のもとに訪れ、いきなり脇腹にナイフをぶっ刺す。柳楽さんのイカれた演技も相まって、思わず息を呑むような非常に恐ろしいシーンだった。 小島はこの繰り返す問題行動によって、組織で対立する砂川(演:向井理さん)に拉致され監禁されることとなるが、ファブル(演:岡田准一さん)によって救出され、逃げることになる。 しかし宿敵・砂川の安い挑発に乗り、わざわざ引き返しタイマンをはる小島。「ああ 俺 今 最高に生きとるわ」と、自身の命の危機をも喜ぶ小島のイカれっぷりを、柳楽さんは満面の笑みで表現していた。 最期は手打ちとなり射殺されることになる小島。柳楽さんの熱演により、恐ろしくも際立つ存在となっていた。 今回は、柳楽優弥さんが魅せた漫画実写化作品での名演技を紹介してきた。 正義感溢れる堂々とした役だけでなく、どこか危うさをはらんだ猟奇的な悪役まで演じ分ける器用さ、全身から溢れ出る独特の雰囲気や目力は観る者を魅了し、圧倒する。まさに唯一無二の名俳優だろう。 今後もドラマや映画で活躍する柳楽さんから目が離せない。
海狸こう平