被災した酒蔵の力に 玉旭酒造(富山)が復興支援の日本酒販売、売り上げは全額寄付
富山市八尾町東町の玉旭酒造は、能登半島地震で被害を受けた富山、石川両県の酒蔵を支援しようと、ラベルに「がんばろう北陸」と記した特別仕様の大吟醸酒を31日まで販売し、同商品の売り上げの全額を両県の酒造組合に寄付する。能登地方には蔵が全壊するなどして今季の酒造りを断念した酒蔵も多く、玉生(たもう)貴嗣社長(49)は「再びおいしい酒を造れるよう、力になりたいという地酒ファンの思いも一緒に届けたい」と話している。 玉旭酒造は2000年代まで、新酒の仕込みを行う冬季に、石川県珠洲市を本拠地とする能登杜氏(とうじ)組合から杜氏や蔵人を招き、一緒に酒造りを行っていた。能登杜氏は日本を代表する四大杜氏の一つとされ、玉生社長も酒造りのノウハウを一から学んだという。 新酒造りの最盛期に発生した地震の影響で、能登地方では多くの蔵や店舗が倒壊。交流のある氷見市や高岡市の酒蔵も復旧作業のため、仕込みの中断を余儀なくされた。玉生社長は同業者の被災状況を知って心を痛め、少しでも力になりたいと、日本酒の売り上げを寄付することを決めた。「お世話になった能登や県内の酒蔵への恩返しの気持ちも込めて、微力ながら支援したい」と話す。
復興支援の日本酒は720ミリリットルで2310円。同酒造とオンラインショップで販売する。売り上げは、石川県酒造組合連合会と富山県酒造組合に半額ずつ寄付する。問い合わせは同酒造、電話076(455)1331。