「国民詩人」谷川俊太郎さんの追悼広がる…書店に特設コーナー、著書増刷
日本の現代詩を代表する詩人、谷川俊太郎さんが13日に92歳で亡くなったことを受け、東京都内の書店が特設コーナーを設けるなど、その死を悼む動きが広がっている。出版社は谷川さんの著書の増刷を次々と決め、詩誌では近年珍しい別冊の刊行が予定されている。“国民詩人”の柔らかな言葉は人々の心に響き続けている。
紀伊国屋書店新宿本店(東京都新宿区)では、2階に特設コーナーが設けられ、詩集「夜のミッキー・マウス」など、約50タイトル、約400冊が並べられている。売り場担当者の梅崎実奈さん(41)は「教科書やCMなどで親しんでいても、まとめて読んだことはないという人もいるはず。ぜひ一冊の詩集で作品を味わってほしい」と話す。
出版社では、集英社が、代表作「二十億光年の孤独」や「わらべうた」など10タイトルの重版を予定している。岩波書店は「自選 谷川俊太郎詩集」を1万部増刷。新潮社も詩集「さよならは仮のことば」をはじめとする3タイトル、計1万3000部を増刷し、主な著作に〈その詩は、いまも私たちのとなりに。〉と書かれた帯をつけるという。
思潮社の月刊詩誌「現代詩手帖」は、年度内に追悼の別冊を刊行する予定で、同誌の別冊は約12年ぶり。同社は「一度はどこかで経由しているのが谷川さんの作品。国民詩人でありながら、日本の詩人の枠を超えた大詩人。柔らかい言葉の中に深い思索が必ず潜んでいる大きな哲学者でもあった」とする。