「お得な新NISA、私は今すぐ始めます」VS「国が推すなんて怪しい、私はやりません」…結局どっちが正解?【サラリーマン投資家が解説】
2024年1月スタートの新NISAは、非課税枠の拡大や非課税期間の無期限化など、大盤振る舞いともいえる充実度です。しかし、「ここまで国が推しているなんて、怪しい制度だ」と疑いをもっている人もいるのではないでしょうか。旧NISAからの大幅バージョンアップの裏にある国の思惑を知るだけでなく、それが投資をしないほうがいい理由になるのかを、きちんと考える必要があるでしょう。本記事では『新NISAはほったらかしが9割』』(双葉社)から、著者の長田氏が新NISAをどう見るべきかを解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
新NISAは「国策」なのでインパクト大!すべての業界に好影響
株式投資をしていると様々なテーマの株に注目が集まります。その中でも、国が特に重点政策としている“国策”に関係している、いわゆる“国策銘柄”にはお金が流れ込みやすいという性質があります。減税または補助金という形でその業界のお金回りが良くなるので、業績が良くなりやすいからです。 俗に「国策に売りなし」という格言もあるように、国の政策に沿った関連銘柄は市場のテーマとして取り上げられることも多く、株価も値上がりしやすく人気になるケースが多く見られます。 たとえば最近でいうと「防衛関連」「DX関連」「インバウンド関連」「半導体関連」……など、国が目標を掲げて政策で後押しする分野は“国策銘柄”といえるでしょう。 その意味では、今回の新NISAも国が政策で後押ししているのですから間違いなく“国策”です。国策ですからインパクトも大きく、すべての業界にプラスの影響が及びます。 税に関しては増やす一方で、減らすことなど露ほども頭にない国が重い腰を上げて「恒久非課税」に踏み切ったのですから、国としても新NISAで失敗するわけにはいきません。旧NISA口座数が「1290万口座」(2023年6月末現在)と、国民の10人に1人しか開設していない現状を打破するためにも、新NISAという国策で国民のお金を広く株式市場に呼び込もうとしているのです。 国策にはお金が流れ込んでくることを説明するため、新NISAよりも身近な「ふるさと納税」について考えてみましょう。 ふるさと納税は、自分が居住している地域ではなく、全国各地の地方自治体に住民税・所得税を納付し、そのお礼として各地の特産品を中心としたお土産がもらえる仕組みです。この仕組みが始まってからというもの、全国各地で誘致合戦が始まり、魅力的な返礼品を揃える自治体が増えてきました。競争が激化したので、一定の規制がかけられていますが、それでもタダでもらうことができるというのは魅力的です。 ふるさと納税という仕組みができたことにより、経済市場ができ上がりました。ふるさと納税に関係する上場企業もあるくらいですし、ある調査によれば市場規模は約2.4兆円と想定されています。ふるさと納税というおいしい仕組みがなければ、ここまで人はふるさと納税に熱心になったでしょうか。ふるさと納税をすることで、地域経済が活性化し、関連ビジネスが生まれました。政策がなければ絶対に発生しなかった需要なのです。 それと同じように、新NISAのスタートは新しい需要を作り出します。 “非課税”というメリットは、ふるさと納税でもらうことができる肉・魚・フルーツのように目に見えるものではありません。しかし、非課税がいかにありがたいことなのかが現実に体感できれば、これまで以上に株式投資を始める人が増えるのは間違いありません。 新NISAは“新しいマーケット”が登場したというくらいのインパクトがあるのです。