自転車を水素でアシスト!? e-BIKEの新しい潮流を垣間見た『BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024』
業務用電動アシスト自転車の取り扱いや、自転車のタイヤに自動で空気を補充するエアハブ機能などで知られる株式会社シゲオーは、e-BIKEで牽引し、目的地に着いたらそのまま台車として活用できるリヤカー「デュアルポーター」や、自転車で重い荷物を引いていたり、下り坂を走っていても安心して牽引することができるブレーキ付きリヤカー「ランドポーター」、そして自転車用のドライブレコーダー「Rec-eye」を展示。実際にe-BIKEを使う人たちが安心して働けるようなラインナップになっていました。
今では当たり前となった前輪側に子供を乗せる専用自転車「ふらっか~ず」を開発したことでも知られる、日本の自転車製造の老舗である株式会社丸石サイクルが開発したのは、回生充電で最大1000km走行可能の「Re:BIKE(リ:バイク)」です。これまでにも充電しながら走行する回生充電を採用した車両は存在しましたが、1000kmという数字には驚きです。
そして今回の展示会でもっとも気になったのは、水素を主燃料とする燃料電池でモーターを動かすe-BIKEの登場です。「燃料電池アシスト自転車」の先進国とも言える中国・上海で実際に使用されている自転車を、YOUON JAPAN株式会社が展示していました。 現在の一般的なe-BIKEはリチウムイオンバッテリーに充電した電力でモーターを動かしますが、燃料電池アシスト自転車は水素を利用して発電し、モーターに電力を供給する形式になります。
札幌でシェアサイクル「porocle」を運営している認定NPO法人ポロクルと、自転車タクシー「VELOTAXI」を運営しているNPO法人エコ・モビリティ サッポロが、トヨタ自動車北海道株式会社と共同で燃料電池アシスト自転車を開発中とのことで、すでに既存のe-BIKEと遜色のない機能を有しているそうです。実用化されたら自転車タクシーでも使用されるとのことで期待が高まります。
実際に試乗してみましたが、音や振動など既存のe-BIKEとの違いは何も感じず、素直に乗ることができました。 興味深かったのは、自宅で水筒ほどのサイズのタンクに水素を充填するための水素発生装置も同時に販売されているという点です。もし「FCV(燃料電池自動車)」が一般的になる時代が来たとしたら、各家庭に水素発生装置が置かれることになるかもしれません。 水素を利用する燃料電池アシスト自転車については、安全性や利便性の確保などまだまだ課題は残されていると思いますが、新しい技術が開発されることは大歓迎です。e-BIKEの新しい可能性を垣間見たような気がします。
史(ちかし@自転車屋)