羅臼沖で流氷閉じ込めシャチ自力脱出か
北海道の羅臼町沖合で今季初めて流氷が確認された5~6日にかけて、流氷の間にシャチの群れが閉じ込められた。その様子がSNSやテレビなどで取り上げられ話題になっているが、7日はシャチの群れが朝から一度も確認されておらず、地元関係者は「自力で脱出した可能性がある」とみている。 シャチの海難現場は、町中心部から約6㌔北にある海岸町の沖合約1㌔の海域で、6日早朝「シャチが流氷に囲まれ動けなくなっている」と、陸から目撃した人が観光船事業者などを通じ町に連絡。町職員が午前9時ごろに陸上から群れを確認した。別の調査をしていた斜里町の民間合同会社「ワイルドライフプロ」がドローンで空撮した画像には、幼獣を含む13頭の群れが流氷のわずかな隙間から顔を出し、次々に潮を吹く様子が収められた。その後午後3時40分ごろを最後に姿が見られなくなったという。 一夜明けた7日朝は、テレビ報道などで知った人らが沿道で双眼鏡を覗き、町内の滞在先から見に来ていた外国人の女性は「姿が見えないからうまく脱出したのかも。良いことね」と話した。 第1管区海上保安本部(小樽)海氷情報センターの速報によると、現場海域の根室海峡北部の流氷は、6日には一部を除き対岸の国後島まで覆い尽くし、7日には密度を緩めながら南下して根室市まで広がっている。 町内では2005年と19年のいずれも2月に、流氷に押されて岸に座礁したシャチやイルカが確認されているが、今回のように流氷の間で発生し船で近づけないケースでは「手だてがなく見守るしかない」(町産業創生課)と話している。
釧路新聞