【只見線再開通2年】観光列車導入に期待(9月30日)
JR只見線が全線再開通し、あす10月1日で丸2年を迎える。只見線に乗り入れる観光列車の予約は好調で、依然として観光需要の高さがうかがえる。只見線と、会津鉄道が運営する会津線へのオリジナル観光列車の導入に向けた検討が進められている。一層の誘客を図る起爆剤として早期実現を期待したい。 県によると、昨年度、只見線に乗り入れたJR東日本のトロッコ列車「風っこ号」の乗車率は3日間で82・1%、会津鉄道の「お座トロ展望列車」は8日間で76・1%と8割前後となっている。JR東日本が只見線の全線再開通2周年を記念して10月1日に運行する「SATONO(さとの)」に至ってはキャンセル待ちの状態だ。 企画列車も人気で、昨年度の只見線全国高校生サミットで「奥会津の美食を味わえるツアーを実施してほしい」との提案を受け、県が今月7、14、15の3日間にわたって催した「美食列車 只見線ツアー」(税込み1人1万1500円)には、各日とも50人の定員に近い予約があった。観光列車の通年運行に魅力ある企画が加われば、一層の利用増と経済効果が見込まれる。
オリジナル観光列車の検討は、会津地方17市町村、会津鉄道、県などで構成する部会が担い、お座トロ展望列車の後継車両として只見線と会津線での共通運用を想定している。検討開始を受け、只見線こども会議が小中高生を対象に車両のデザインやサービス、設備などのアイデアを募ったところ、県内外から30件の提案が寄せられた。このうち、展望席を備えた車両や会津の景色をイメージした内装など20件の提案を部会に届けた。ぜひとも、子どもたちの新鮮な発想を新たな観光列車に取り入れてほしい。 車両の確保や改装には多額の費用がかかる。県や地元自治体に新たな投資が求められるだけに、ふるさと納税やクラウドファンディング(CF)などを活用した資金調達も検討すべきだろう。会津鬼怒川線を運行する野岩鉄道(本社・栃木県日光市)が国内唯一の6050型車両を観光列車化する際、1500万円を目標にCFを実施したところ、2183万円が集まった事例もある。多くの賛同者の夢や希望を乗せた観光列車になるよう願う。(紺野正人)