米大統領選でトランプ・バンス陣営を襲う「ソファでハレンチ行為」の醜聞
<自身に似たバンスを副大統領候補に指名してしまったトランプ前大統領。案の定、バンスの「トランプ型」失言に見舞われるが、それに加え妙に性的なジョークも逆風になっている、と米出身芸人のパックンは風刺画で解説します>
本来、米大統領候補が副大統領候補を指名するときには、自分の弱点を補うように違うタイプの人を選ぶのが鉄則。カリフォルニア州の都会出身の元検察官で有色人種の女性である民主党のカマラ・ハリス大統領候補が、中西部の田舎出身の元教師で白人男性であるティム・ワルズ(Tim Walz)を抜擢したのはセオリーどおりの人選だ。一方の凹に他方の凸が重なる、完成度の高い組み合わせだ。 川底から発見された「エイリアンの頭」の謎...ネット震撼「青っぽく光る」「重くて厄介」 ワルズは退役軍人であり、風刺画にあるとおり、高校のアメフト部コーチとして州大会での優勝経験もある。ハリスが苦手な有権者はそんな彼にばっちり引かれるはず。 風刺画で黒板に書いてあるのは「スイープ」という攻撃プレーの図だ。味方選手と敵の区別にXとOを使うのがアメフトの定番。XO醬を使うのが香港料理の定番。覚えておこう。 ハリス&ワルズと対照的なのが共和党のトランプ&バンスのコンビ。バイデンに楽勝しそうで自信過剰だったせいか、トランプ前大統領は自分と同じタイプのJ.D.バンス(J.D.Vance)を指名した。アイビーリーグ卒のお金持ちで白人男性という点が全て同じだが、それだけではない。 男女差別発言も有名で、民事裁判で性加害が認められたトランプと並んで、バンスもMisogyny(ミソジニー、女性蔑視)が特徴だ。特に目立ったのは「アメリカは子なしの猫好きおばさんたちに支配されている」という問題発言。これで多くの女性も猫も敵に回している。 風刺画に描かれたクッションはこの失言を指しているが、couch(ソファ)にも意味がある。バンスはベストセラー自叙伝『ヒルビリー・エレジー』で、若い頃ソファに挟んだゴム手袋で自慰行為をしたと告白した......というでっち上げのジョークがバズっているのだ。 もちろん、そんなこと本には書いていない(実際やったかは不明だけど)。だがその印象は付いてしまった。ワルズも「バンスと早く討論したい。彼がソファから離れられたらね......」といじわるな皮肉を放っている。 とにかく凸に凹のバランスペアに対して、凹に凹のアンバランスペアは苦戦中だ。世論調査の結果を見て本人たちも凹んでいるはず。このままだと本選挙でDemocracy Sweep(民主主義の圧勝)になり得る。凹凹ペアがボコボコにされそう。 ■ポイント THE COACH VS THE COUCH コーチ対カウチ(ソファ) I LOVE THIS GAME! このスポーツ、大好きだ! I LOVE THIS SOFA! このソファ、大好きだ! NO CAT LADIES ALLOWED ネコ好き女お断り。「ネコ好き女」は子供のいない女性を侮辱する常套句として使われる。
パックン(コラムニスト、タレント)