没後初の大規模回顧展「髙田賢三 夢をかける」東京オペラシティアートギャラリーで7月から開催。日本人デザイナーのパイオニアとして活躍した創作活動をふりかえる
2020年に逝去した髙田賢三(1939-2020)の没後初の大規模個展
「髙田賢三 夢をかける」が、東京オペラシティ アートギャラリーにて、7月6日~9月16日まで開催される。本展は、2020年に惜しまれつつ逝去した髙田賢三(1939~2020)の没後初の大規模個展。髙田のファッションの変遷を衣装展示でたどるとともに、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などを紹介し、多角的な視点で人物像を浮かび上がらせ、日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田の創作活動を回顧する。 パリに進出し、斬新なアイデアで常識を打ち破るスタイルを次々と生み出した髙田。単身で渡仏後、1970年にパリでブランドを立ち上げた髙田は、日本の生地を多用し「木綿の詩人」として注目を集める。その後も、身体を衣服から解放させることを意識し、直線裁ちの着物袖やダーツをなくしたゆとりある服を生み出したり、独特の色使いや柄の組み合わせを用い「色彩の魔術師」と称されるなど、日本人としての感性を駆使した作品を数多く発表した。 本展では、幼少期、東京の文化服装学院で過ごした学生時代、パリに渡ってからの活躍、晩年の活動まで幅広く紹介し、髙田の人柄を語るトピックを織り交ぜながら、彼の魅力あふれる人生をタイムラインで紹介する。 前半では、装苑賞を受賞した作品からはじまり、「日本のきれ」を使った初期の作品、「ニット」「ツイード」「バルーン」といった素材や技法、「アンチクチュール」「ペザント・ルック」「ミリタリー・ルック」など、1970年代に発表したテーマに着目して紹介。後半では「日本」「中国」「ルーマニア」「ロシア」「アフリカ」など、世界各地の民族衣装に着想を得た1970~80年代のフォークロア作品を一堂に展示。多様性、包摂性を持ち合わせていた髙田の世界を堪能できる空間となる。さらに、KENZOでの最後のショー「30ans(トランタン)」を、映像フィルムをデジタル化し、ダイジェストで展示する。 見どころは、1982年秋冬のショーに登場したマリエ(ウェディングドレス)。髙田が20年間にわたって集めた、花の刺繍が施された色とりどりの美しいリボンが使われている。このドレスは1999年に行われたショー「30ans(トランタン)」で、日本を代表するモデル、山口小夜子が着用。本展ではこのドレスとともに、制作の様子も写真資料で紹介する。 国境や文化、性別を自由に超え、西欧中心の伝統文化にとらわれない新しい衣服を示唆し、いまもなお世界中で愛されている髙田賢三。その魅力をあらためてふりかえりたい。
Art Beat News